第1話
2016年、3月。三重県立越山高校では、社会科教師の南雲脩司が、次年度から野球部の顧問兼監督を担当してくれないかと打診されていた。しかし、肝心の野球部は1名の部員を除いてやる気のない幽霊部員ばかり。更に南雲は妻の美香と2人の子供達との家庭での時間を大事にしたいので、就任を頑なに拒んでいた。そんな中、家庭科担当の教師・山住香南子(黒木華)が越山高校に赴任してきて、南雲と一緒に野球部を強くしたいとやる気満々。そして山住は、スポーツで実力のある中学生たちを受験前から勧誘。更に、地元の有力者・犬塚樹生(小日向文世)の孫で名門クラブチームのエースだった翔(中沢元紀)も強豪校への受験に失敗し、越山に入学してくることに!なし崩し的に野球部の手伝いをしていくうちに、穏やかだった南雲の生活が大きく変わっていく・・・。
第2話
南雲脩司は、夏の大会までの3か月間限定で野球部監督に就任し、野球部部長・山住香南子の発案で部員の実力を測るためのフィジカルテストを実施する。1年生の犬塚翔や楡伸次郎らが早くも実力を発揮する中、ゆるく野球を楽しみたいだけの他の部員たちは、本気練習でやる気を失いかけていた。一方、1年生の根室知廣はお金のかかる野球を続けることで姉の柚希に迷惑がかかると悩み始め、学校を休みがちになっていた。チームはまとまりに欠ける状態だが、賀門英助率いる強豪・星葉高校との試合が決定してしまい・・・。
第3話
南雲は、教員免許を持っていないという衝撃の事実を山住に打ち明けた。更に南雲は、今年度で教師を辞任するつもりで、野球部の監督もこれ以上は続けられないという。星葉高校との練習試合で惨敗したものの、チームの今後に可能性が感じられた矢先の話に山住は動揺を隠せない。そんな中、越山高校の生徒たちが、バッティングセンターで地元の会社員に絡まれてしまった。野球部主将・日沖の弟で南雲のクラスの生徒である壮磨が相手の挑発に乗ったことで、不可抗力ながら暴力事件へと発展してしまう。一方、南雲家では、美香に以前勤めていた会社から1年間だけ復帰してくれないかと声がかかっていたが、美香は、子どもたちを置いて東京には行けないと話す。そんな美香に、南雲は自分が教員免許を持っていないことを言い出せず・・・。
第4話
甲子園予選1回戦の日がやってきた。越山高校の相手は、昨年夏の大会を一回戦で敗退した多気高校。監督ではなく、副部長として指揮を執ることになった南雲は、この大会を最後に教師を辞めると決意していた。試合はエースの犬塚翔をはじめ、久我原、楡ら1年生の活躍もあり越山ペースの展開に!そんな中、南雲の妻・美香は南雲を残して子どもたちと東京へ行くことを決意したが、事情を知らない息子の青空は東京行きを嫌がっていた・・・。
第5話
三重県立越山高校の野球部員たちは、南雲が無免許で教師をしていたという衝撃の事実に驚き、複雑な思いを抱えていた。そして、校長の丹羽や野球部部長の山住は保護者たちの対応に追われていた。そんな中、南雲の裏切りに激怒した犬塚は、強豪校から野球指導のできる新監督を山住に相談もなく決めてしまう。一方、南雲は、青空への心ない言葉や、容赦ない記者たちの追及が降りかかる中、在宅で取り調べを受けることになる。南雲は担当弁護士たちに、教師を志すきっかけとなった幼少期からの経験や、教師になってからの日々について語り始めて・・・。そんなさまざまな困難が降りかかる中、山住はあることを決意する・・・。
第6話
根室が南雲の家に泊まるようなり、南雲のもとに練習後の野球部員たちが集まるようになった。そんなある日、南雲の事件が検察に送致される。果たして南雲に下される処分は・・・。そんな中、南雲と青空は東京の美香の仕事場を訪ね、久々の再会に喜ぶ南雲家だったが、そこには美香の元夫・晴哉の姿もあった。三重県立越山高校野球部では、南雲の後任監督が、新人を一人もスカウトできなかったことを理由に犬塚によって解任され、山住が自ら新監督に申し出る。そして夏の予選の初戦は昨年ベスト8の五十鈴高校に決定し、試合に向け気を引き締める部員たち。しかし、五十鈴高校野球部員から、横浜にいた頃の山住に関するあるうわさを聞かされる・・・。
第7話
2017年、夏の大会。11年ぶりに予選1回戦を突破し念願の「夏一勝」を手にした越山高校野球部の2回戦の相手は、強豪・伊賀商業。この試合に善戦するが、楡のミスからペースが崩れ、惜しくも敗北を喫する。部員たちは、勝てた試合を逃したショックから立ち直れず、燃え尽きたような状態で、更に監督の山住は反省から熱を出して寝込んでしまう・・・。そんな中「一勝したら戻ってきてほしい」という部員たちとの約束に応え、南雲が監督に復帰することに!南雲の妻・美香も東京から戻ってくるなど力強い援軍も得て意気込む南雲は、落ち込む部員たちを奮い立たせて実戦経験を積ませるべく、次々と他校との練習試合を組んでいく。しかし、予選敗退以来、部活を休み続けていた楡の身に、ある問題が起こっていた・・・。更に大地主の犬塚と校長の丹羽は、南雲の監督復帰を快く思っておらず・・・。
第8話
南雲が監督に復帰して1年が経つ頃、越山高校野球部は、夏の大会で34年ぶりにベスト8に進出して、日本一の下剋上を目指していた。地元の後押しを受けて準々決勝も突破したが、部員たちは、どこか緊張感を欠いており、南雲と山住は不安な思いを抱えていた。迎える準決勝は、賀門率いる強豪・星葉高校と対戦することになる。南雲にとっては教員免許の一件以来決別した賀門との師弟対決。甲子園出場へ重要な一戦の先発投手に、南雲はエースの翔か、成長著しい根室かで頭を悩ませていた。そんな中、練習中に山住に打球が直撃するアクシデントが起こる。山住は、動揺する部員に「南雲にはこのことを言わないように」と釘をさすが・・・。
第9話
いよいよ運命の準決勝の日、エースの翔を控えに回し、根室を先発で起用するという南雲の判断に戸惑いながらも、負けられない戦いへ向けて静かに覚悟を決める部員たち。しかし、山住が脇腹の痛みを悪化させ、病院へと運ばれてしまう。そんな中、準決勝が始まる。賀門率いる星葉高校も越山高校同様、これまでとは違う布陣で挑んでくることに。想定外の出来事の連続にミスを連発する越山高校。焦る部員たちを前に南雲がどう動くのか?そんな中、何やら重大な懸念を抱えている様子の丹羽は、犬塚たちにある相談を持ちかけていた。
第10話 最終回
越山高校野球部は、星葉高校にサヨナラ勝ちし、ついに決勝進出を決めた!しかし、甲子園出場には高額費用がかかることが発覚し、校長の丹羽は地元の有力者たちを集めて皆で頭を悩ませていた。そんなこととはつゆ知らず、野球部員たちは、南雲の家で決勝戦へと決意を固めていた。三年生にとって決勝戦は、高校生活最後になるかもしれない試合であり、そしてその後の進路についても思いを巡らせるのだった。そんな中、根室は、大学からスカウトを受けていたことを姉の柚希に言えずにいて・・・。更に犬塚はある決意を固めていた。そしていよいよ決勝当日、星葉高校の応援団も越山の応援のために駆けつけてくれ、越山高校応援ムードが高まる中、南雲と野球部員たちの日本一の下剋上がかかった運命の試合がスタートする・・・。
(TBSテレビ、日曜劇場「下剋上球児」より)
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