第1話
中国の三国時代・・・天才軍師・諸葛孔明は病に倒れる。そして孔明がふと目を空けると、そこは2023年ハロウィーンの渋谷だった。見知らぬ酔っ払いに連れて行かれたライブハウス・BBラウンジで、孔明は月見英子のステージを見て、その歌声に魅了される。翌朝、目を覚ました孔明は、英子に介抱され、ここが地獄ではないことや、自分の姿が若返っていることに気づく。そして現代文明に激しい衝撃を受けるが、そこは天才軍師。脅威の理解力でスマホをあっという間にマスターしてしまう孔明。そこへやってきたBBラウンジのオーナー・小林(森山未來)に孔明は、「はじめまして。私、姓は諸葛、名は亮、字を孔明と申します」と挨拶する。小林は熱烈な三国志オタクで、三国志の武将カードを取り出し、孔明に「街亭の戦い」での馬謖についての問いを投げかける。三国志談義で盛り上がり、上機嫌になった小林は、その勢いで孔明をアルバイト採用することに。一方、仕事からの帰り道、「もうやめようかな、歌」とつぶやく英子。励ます孔明に、英子はこれまでの身の上を話し出す。高校時代、家出して歩道橋から身を投げようとした英子を小林が止め、英子を店に連れていき、世界的シンガー、マリア・ディーゼル(アヴちゃん)の歌を聴かせる。感動で震える英子は、店でアルバイトをしながらいつか自分も誰かを感動させたいと、歌手を目指してきた。孔明は英子の夢を叶えるため「私が、あなたの軍師になります」と宣言する。
第2話
孔明が英子を売り出すため、次にブッキングしたのは、アートフェスでのライブだった。しかし英子のブースは一番端で、更に向かいは人気インディーズバンド・JET JACKETのブースだった。英子は不安になるが、「この戦、勝てますよ」と孔明は意味ありげに微笑む。その頃、JET JACKETのギターボーカルのRYO、ドラムのMASA、キーボードのTAKUの三人はスタジオで練習していたが、RYOの様子がおかしく、練習を早々に切り上げて、一人で帰ってしまう。そんな様子を孔明が近くで見ていて・・・。その後、孔明は寝泊まりしているBBラウンジの倉庫に引きこもる。オーナーの小林と英子が中をのぞくと、卓上コンロで何か毒々しいものを煮込んでおり、倉庫には異臭が漂っていた。アートフェス当日、RYOに挨拶する英子と孔明の元に、小林が「機材トラブルが起きた」と言い、慌ただしく去っていく三人を見て、余裕の顔になるRYO。そしてJET JACKETのライブがスタートする。
第3話
英子は、超大型音楽フェス「サマーソニア」への出演を宣言したのだが、出演の条件であるSNSでの「10万イイネ」の獲得に自信が持てないでいた。孔明は強力なラッパーを仲間にする計略を明かすが、それだけでは10万イイネ達成には足りないと言う。英子は何が必要なのかを孔明に問うが、それは自分で見つけるしかないと突き放される。その頃、アルバイトを終えて帰路につく一人の青年がいた。フードをかぶってフリースタイルラップを呟く姿を見て、周囲の人が「ラッパーのKABE太人」と気づき始める・・・。しかし、その声が広がるにつれ胃が痛くなり、逃げるようにその場を立ち去る。一方、英子はアルバイトの休憩中にスーパーアーティスト・前園ケイジのドキュメンタリーを見ていた。英子が憧れるケイジは、作詞・作曲・振り付けまで全てを一人でこなすのだが、オーナーの小林によると、もっと手本になるアーティストがいるようだ。そして英子は助言を求めてミア西表の元へ。ミアは英子に、本気でやる気があるなら、カバーを歌ってちゃダメだとアドバイスを送る。一方、KABE太人が洗濯物を持ってコインランドリーへ行くと、そこにはジャージ姿の怪しい男・孔明がいて・・・。
第4話
ラップバトル会場の客席にいたKABEは、スポットライトに照らされ立ち尽くすが、「MCバトルなんて単なる口げんか」という挑発で顔色が変わったKABEは、マイクを握りステージへ。KABEコールが鳴りやまぬ中、孔明 vs KABEのバトルが始まる!KABEのテクニックに、まるでお経のような独特のラップで応戦する孔明。そして、孔明の背後には何人もの文官がいるように見え・・・。判定はドローで、勝負は延長戦に突入するが・・・。更に、超大型フェス「サマーソニア」への出場権をかけた、10万イイネ企画が本格的に始動する。英子はメロディーができたばかりのオリジナル曲を完成させるべくレコーディングスタジオに向かう。そこに世界的なアレンジャー、スティーブ・キドが立ちはだかり、孔明と賭けをすることに・・・。「僕が納得できる曲ができたらタダでいい。その代わり、できなかったら僕の軍師になってもらう」果たして英子はオリジナル曲を無事、完成させることができるのか!?
第5話
孔明は、超大型フェス・サマーソニアの出場権をかけて、英子のライバルとなる仮面アイドルユニット「AZALEA」について調べていると、「AZALEA」のプロデューサーである唐澤は、10万イイネ企画の期限の3日前に大規模なイベントを予定していることが判った。しかしそれがどんな内容なのか探ることができない孔明は、BBラウンジのオーナー・小林に相談する。一方、英子は路上ライブで出会った久遠七海とすっかり打ち解け、セッションを重ねていた。レコーディングがうまくいかず落ち込む英子に、七海は「自分が楽しく歌えることこそが大切」と伝え、自分とおそろいのギターストラップをプレゼントする。英子はサマーソニア出演を目指していること、それには「AZALEA」に勝たなくてはいけないことを七海に話すと、七海の表情が一変し・・・。その頃小林は、裏の手を使い「AZALEA」が所属する音楽事務所「KEY TIME」の社員証を入手。孔明は、それを使い事務所に潜入し、会議室に忍び込むがすぐに唐澤に見つかってしまう。唐澤は孔明を見て、10万イイネ企画を探りに来たスパイだと見破り「諦めろ」と言い放つ・・・。
第6話
英子は超大型フェス・サマーソニアの出場権を賭けて、SNSで10万イイネを目指す。孔明の計略により、ライバルである三人組アイドルユニット「AZALEA」の10万イイネ企画を乗っ取るべく、ゲリラライブ会場を突き止め、AZALEAのフリをして歌うという作戦を決行する。そしてKABEが操作するドローンによりQRコードが出現し、「AZALEA」のQRコードだと勘違いした客たちは次々にスマホをかざす。オーナー小林は、これはかつて孔明が「赤壁の戦い」で用いた策だと気づく。英子のSNSのイイネの数は爆発的に伸びていくが、観客はステージにいるのが本物ではないと気づき始め・・・。そこへ、本物のAZALEAのステージトラックがやって来て、二つのステージが向かい合うい、「AZALEA」のパフォーマンスがスタート!果たして英子はAZALEAの勢いを止めることができるのか!?そして、遂に完成した「DREAMER」お披露目の時が迫る・・・。
第7話
英子は、10万イイネを獲得し、ついに超大型フェス・サマーソニアの出場が確定する。しかし、本番では「DREAMER」だけでなく、新曲をもう1曲用意しなければならない。英子は曲作りに悩み、ミア西表に相談するが、ミアは「私に歌の事なんて聞くな!」と突っぱねる。そんな中、英子がBBラウンジでバイトをしていると、テレビの音楽番組のプロデューサー・高井戸という男がやってくる。高井戸は英子に「ゴールデンの特番で、新人枠のシークレットゲストとして出演してほしい」と持ちかける。何か裏があるのではと怪しむ孔明は、ボウリング場で高井戸に接触し、ボウリング対決を持ちかける。もし高井戸が勝ったら、英子をノーギャラで番組に出演させるという孔明だが・・・。一方、ミアはレコード会社の社長・山野と揉め、レーベルを辞めると言い放つ。英子はミアに呼び出され、愚痴を聞くが、突然めまいがして・・・。
第8話
体調が回復し退院することとなった英子は、BBラウンジのバイトを休み、新曲作りに専念することになる。どんな曲を作れば良いのか分からず悩んでいる英子に、孔明は「久しぶりに多摩川にあざらしのたまちゃんが現れたそうですよ」と伝える。そして孔明は、英子の代わりにあくせく働き、オーナーの小林は、そんな孔明を心配する。そんな中、世界的シンガーのマリア・ディーゼルがBBラウンジを訪ねてくる。小林はマリアと旧知の間柄で、再会を祝して酒を飲み、酔ったマリアは「あの頃みたいにギター弾いてよ」と小林にリクエストする。その頃、前園ケイジは高級寿司店でマリアに約束を破られイラついていた。マリアがBBラウンジにいると聞いたケイジは鬼の形相になり・・・。珍しく酔った小林は孔明に昔の話をする。かつて小林は、前オーナーの吉永に雇われ、BBラウンジで働きながらギターを弾いていた。そんな小林は、デビュー前のマリアと運命的な出会いを果たし、マリアとバンドを組むことになる。しかし、ある事件をきっかけに、ギターから足を洗うことに・・・。一方、多摩川にやってきた英子は、ラッパーの赤兎馬カンフーと再会し、ゴミ拾いを手伝うことになる。そして英子は、赤兎馬に悩みを吐露する。
第9話
BBラウンジに前園ケイジが現れた。ここに来るのは3回目だというケイジ。ケイジはオーナーの小林に恨みがあるようで・・・。孔明は、英子が大手レーベルに強引に移籍させられそうになったのはケイジの仕業かと問いただすと、ケイジはそれをあっさり認め「これで終わりじゃないから覚悟しといて」と言い残して去っていく。超大型音楽フェス・サマーソニアまであと2週間となり、タイムテーブルが発表された。英子のステージのあとにケイジの名前を見つけた孔明と小林は、嫌な予感がして・・・。その頃、ケイジの事務所では、ロックバンド、イースト・サウスのメンバー、南房と東山がケイジに新曲を聴かせていた。2年前に活動休止したイースト・サウスの二人は、ケイジのゴーストライターをしていたのだが、今回を最後の曲にして欲しいと懇願する。しかしケイジは、違約金がかかると二人を脅し・・・。一方英子は、スタジオで新曲「Time Capsule」のレコーディングをしていると、サマーソニアでの曲について話すイースト・サウスの二人を目撃する。そのことを英子から聞いた孔明は、イースト・サウスについて調べ始める・・・。
第10話 最終回
超大型音楽フェス・サマーソニア前日。前園ケイジの事務所ではケイジのゴーストライターを勤めるイースト・サウスの南房と東山が新曲を披露していた。ケイジは二人に新たな仲間としてKABEを紹介する。だが南房は、KABEに「ここだけは辞めとけ」と告げる。一方、英子はケイジがオーナー小林への逆恨みでBBラウンジを潰そうとしていることを耳にするが、孔明は「明日のサマーソニアのことだけを考えてください」と英子に伝える。そして迎えたサマーソニア当日。小林は英子を会場まで車で送る途中、通行止めなどのトラブルが発生し、身動きが取れなくなる。そこへミア西表の乗ったバイクが猛スピードでやってきた。英子はミアの後ろに乗り、会場へと向かうが・・・。その頃、イースト・サウスの二人は孔明の元を訪ねていた。孔明は二人に「英子と共にサマーソニアのステージに立ってほしい」とメールを送っていたのだ。一方、ミアのバイクに乗せてもらって会場に到着したはずの英子が姿を消してしまい・・・。英子は無事ステージに立つことができるのか?そして孔明の天下泰平の計は無事成功するのか・・・!?
(フジテレビ「パリピ孔明」より)
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