エースの座から転落した元人気女子アナ・浅川恵那(長澤まさみ)が、若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)と冤罪疑惑に立ち向かう!
エルピス(Elpis)とは、古代ギリシャ神話で、「パンドラの箱」に唯一残されていたものとされる。
それは諸説あるが「希望」「予兆」「期待」とも訳される。
事件の真相に迫っていく過程で、さまざまな「希望」を見出すが、自身やその周囲、所属する組織に対し、痛みや破綻といった「災い」も降りかかる。
パンドラの箱を開けたことでもたらされる混沌の先に残されているのは、希望か、それとも災いか・・・。
第1話
大洋テレビのアナウンサー・浅川恵那は、かつてゴールデンタイムのニュース番組でサブキャスターを務めるなど、一流の女子アナだったが、路上キスを週刊誌に撮られて番組を降板。今では「制作者の墓場」と揶揄される深夜の情報番組「フライデーボンボン」でコーナーMCを担当している。そんなある日、新米ディレクターの岸本拓朗から、ある連続殺人事件の犯人とされる死刑囚が、冤罪かもしれないと相談される。それは、ある有力筋から得た情報だという。しかし事件が起きたのは10年近くも前で、犯人とされた男の死刑もすでに確定している。拓朗は、新入社員時代の指導担当で報道局のエース記者・斎藤正一(鈴木亮平)にも頼る。そして、事件当時の話を一緒に聞きに行こうと無邪気に恵那を誘うが・・・。
第2話
真犯人は野放しになっているという拓朗の言葉がまるで何かの合図だったかのように、行方不明になっていた中学2年生の女子生徒が遺体で発見される。かつて世間を騒がせた連続殺人事件の被害者と同じように首を絞められた痕があり、遺体発見現場も同じ神奈川県八頭尾山の山中。模倣犯か、それとも罪なき人を死刑囚に仕立て上げた真犯人の仕業か!?松本良夫死刑囚の冤罪を訴えていた拓朗の言葉に、わずかな可能性を見た恵那は、番組で過去の事件を調査報道したいと考えるが、プロデューサーの村井に取り合ってもらえるはずもなく、ひとまず、一人で事件を洗い直すことにする。
第3話
恵那と拓朗は、弁護士の木村から新聞記者の笹岡まゆみを紹介され、新聞社が保有する当時の事件資料を入手することに成功。まゆみは、一連の殺人事件の現場となった八頭尾山に思い入れがあり、調べたところ、真犯人による犯行の可能性に行きついたという。強力な助っ人を得た恵那は、資料をもとに12年前に事件の捜査に関わった八飛署の刑事・平川勉を訪ねるが、すでに最高裁で判決が下されていることを理由に「犯人は松本で間違いない」の一点張り。実際に取り調べを行った刑事にも話を聞こうとするが、すでに退職して所在は不明だった。
第4話
恵那の画策により、連続殺人事件の被害者遺族ら事件関係者にインタビューした映像が「フライデーボンボン」で放送された。拓朗すら知らなかった恵那の奇襲に、村井たちスタッフは呆然。オンエア後、恵那は名越から厳しい叱責を受けるが、特集への反響は想像以上に大きなものとなっていく・・・。恵那たちが次に着目したのは、犯人逮捕の決め手にもなった重大な目撃証言。事件当時、目撃者の西澤は「男が慌てたように山道から駆け降りてきて、自転車で立ち去る様子を見た」と証言した。しかし、恵那が取材を申し込むと、かたくなに応じようとせず、拓朗は西澤の言葉にどこかうさんくささを感じる。そして、恵那は弁護士の木村から、松本死刑囚に関する衝撃の事実を聞かされる・・・。
第5話
松本死刑囚の再審請求が棄却され、チェリーは責任を感じて自殺を図る。そして、拓朗たちも特集の続編を制作が中止となり、あらがえない大きな力に脅威を感じた恵那は、上層部の決定を受け入れる。しかし拓朗は、世間の反響が大きく視聴率も良かっただけに納得できず、単独で、事件の目撃証言をした西澤の身辺を調べ始める。すると、西澤がかつて、事件のあった八頭尾山の麓の町に住んでいたことが判明。さらに現地で聞き込みを続けると、西澤の息子・健太の親友だという男が現れ、西澤の新たな顔が浮かび上がる。いちるの望みをかけた拓朗は、男を介して、ある人物に接触を試みることに・・・。
第6話
「松本死刑囚を見た」という西澤の証言は嘘だった・・・。目撃証言が覆されたことで、松本死刑囚の再審は現実味を帯びてくる。更に、拓朗が取材したこの事実は、かつて報道局に在籍していた村井の魂にも火をつける。事が事だけに報道部に任せるべきだという意見もあるが、村井は「フライデーボンボン」で大々的に報じると宣言する。オンエア後、日本の司法を揺るがす新事実に世間の反応はすさまじく、あらゆるメディアが動き出す。社内では緊急幹部会が行われ、恵那が局の看板番組である「ニュース8」に記者として出演することが決まる。
第7話
恵那は、副総理の大門が八飛市出身だと気づき、新聞記者のまゆみに大門の身辺調査を依頼する。斎藤のかつての言動から、警察に対し絶対的な力を持っていた大門が、何らかの形で事件に関与していたのではないかと考えたからだ・・・。一方、経理部へ異動させられた拓朗もまた、引き続き事件を追っていた。しかし、新たな手掛かりは得られず、このままでは松本死刑囚を救い出すどころか、事件が風化してしまう・・・。落ち込む拓朗が村井に愚痴をこぼしていると、そこへ、とんでもないニュースが飛び込んでくる・・・!そして恵那は、まゆみから大門に関わる重要人物のリストを手に入れ、ある仮説を立証すべく拓朗にリストを託す。その矢先、意外な人物から拓朗に電話がかかってきて・・・。
第8話
かつて迷い込んだ商店街で、えたいの知れない雰囲気と危険をはらんだ瞳で恵那を惑わせた男・・・。その男は、大門副総理の有力支援者である「本城建託」社長の長男・本城彰だという。あの男には何かあると直感した恵那は、拓朗に調査を頼む。すると、地元の評判は上々だが、その存在があまり知られていないことも分かった。八頭尾山で3人目の女子生徒が殺されてから、再び犠牲者が出るまでの12年間、彰は海外を転々としていたという。拓朗は、真犯人についてある仮説を立て、再び八飛市で聞き込みを行い、最後に殺された中村優香と親しかったという高岡ひかるにたどり着く。
第9話
DNA鑑定でも、本城彰が真犯人である事実は公にならず、行き場のない憤りを抱えた拓朗は、刑事の平川を脅迫した疑いで会社を解雇されてしまう。背後に真実を闇に葬ろうとする巨大な力を感じた恵那は、再び心身のバランスを崩していく・・・。一方、村井は、大門副総理の娘婿で秘書の大門亨に接触し、拓朗に引き合わせる。村井によると、亨は真面目で正義感が強く、決して政治家の秘書に向いているとはいえない男で、過去に村井の力を借りて大門の告発を試みたことがあるという。その時は権力と忖度に屈したという話を聞いた拓朗は、村井も今の自分と同じように、目の前にある真実を握りつぶされたことがある事を知る。
第10回 最終回
大門副総理の娘婿である亨は、妻と離婚し、仕事も辞め、命を懸けて大門に対する「レイプ事件もみ消し疑惑」を告発しようとしていたが、何者かに殺された!?一方の村井は、亨の正義を踏みにじり、自らの保身のため、身内の死をもって終止符を打とうとする大門のやり方、更に、権力という名の悪から目をそらし、平然と報道を続けるマスコミのあり方に怒りを爆発させる。「ニュース8」のスタジオに殴り込んできた村井の様子を見た恵那は、その真意を知りたいと、拓朗の元を訪ねる。深い失意と恐怖に襲われる拓朗の言葉に、恵那が出した答えは・・・!?
Twitter Instagram
(関西テレビ、月10ドラマ「エルピス 希望、あるいは災い」より)
|