第1話
衆議院議員・犬飼孝介(本田博太郎)の第一秘書を務める鷲津亨は、20年前、路頭に迷っていた自分に手を差し伸べてくれた犬飼に、命がけで尽くしてきた。そして、内閣府特命担当大臣にまで上り詰めた犬飼は、女性軽視発言で世論の強い反発を招き、幹事長の鶴巻憲一(岸部一徳)や厚生労働大臣の鴨井ゆう子(片平なぎさ)、そして内閣総理大臣の竜崎始(高橋克典)からも、冷ややかな目で見られている。更に、大臣秘書官に任命した息子の俊介(玉城裕規)は、地元の建設会社から不正な金を受け取っているらしい。そんな中、大臣就任後初の政治資金パーティーが行われ、亨が招待客の対応に追われていると、妻の可南子(井川遥)から、中学生の息子・泰生(白鳥晴都)が歩道橋から突き落とされ、意識不明の重体だと知らせが入る。
第2話
亨の息子・泰生が歩道橋から突き落とされ、事件のもみ消しを企てる犬飼。それに憤慨する亨は、息子の命を軽んじた犬飼を失脚させようと決意する。私設秘書の梨恵、新人秘書の眞人の協力を得て、まずは懐刀である、政策秘書の虻川排除作戦に打って出る。女性秘書へのパワハラ釈明会見での原稿ミスで、犬飼のイメージを失墜させた虻川だったが、それでも地位は盤石だった。虻川は事務所の金庫番で、犬飼も知らない金の流れをすべて把握しているため、うかつに切れないようだ。亨は、虻川の生命線ともいえる裏帳簿を何とかして手に入れようと画策し、眞人に虻川の動きを見張ってほしいと頼む。
第3話
亨の息子・泰生の一件は、当初事件として捜査されていたが、何者かの圧力により事故扱いになったという。そして、バスの中で老女に席を譲るよう泰生に促された男が、泰生を追うようにしてバスを降りたことが分かる。鷹野からその話を聞いた亨は、犬飼の政治生命を絶つために必要な材料を集めようと、虻川の裏帳簿のコピーを調べ始める。すると、事務所資金が犬飼の息子・俊介のために私的流用されていたことが判明する。俊介は、あちこちで暴力沙汰を起こし、そのたびに示談金を支払って解決していたのだ。そのことを知った亨は、泰生の事件を思い出し、ある疑惑が浮かび上がる。そして、犬飼の運転手・牛尾に目をつけ、事件当日の犬飼親子の様子を聞き出そうとするが・・・。
第4話
鷲津は「権力をふりかざす奴と闘いたいなら、お前も力を持て」と、鷹野から次の総選挙で犬飼の地盤を継いで出馬するよう打診された。鶴巻と鷹野は、地元の有力者で後援会長の鰐淵益男を味方につけるよう助言する。しかし、鰐淵は犬飼との関係が深く、地盤を継ぐのは犬飼の息子・俊介だと考えていた。後日、鷲津は早速、鰐淵を訪ねるが、俊介が、鷲津を陥れるために悪いうわさを吹き込んでいて、恩知らずとののしられて取り付く島もない。一筋縄ではいかないことを悟った鷲津は、相手の弱みを探すべく、梨恵に鰐淵に関する資料を集めてほしい依頼する。一方、鷲津家では可南子が鷲津の出馬に反対していた・・・。
第5話
鷲津は、息子の泰生を突き落とした犯人を明らかにするため、正式に選挙戦に出馬することに。しかし、その矢先、対立候補として人気フリージャーナリストの有馬保奈美が出馬すると聞かされる。保奈美は記者として前内閣を解散に追い込んだ、いわば現竜崎内閣誕生の立役者であり、今回は無所属で出馬するようだが、背後に竜崎がいることは明白だった。鶴巻は、突如現れた刺客に、鶴巻派の議員の数を減らそうとする竜崎の差し金だと言うが、鷲津は竜崎が何らかの理由で自分を永田町から排除しようとしているのではないかと考える。選挙ポスターの撮影や、選挙事務所の設営と、本格的な準備が始まると、可南子も事務所に顔を出すようになる。梨恵、眞人、貝沼らは、選挙戦に向けてせわしなく動き回るが、早速、有馬陣営から嫌がらせともいえる仕打ちが・・・。
第6話
激しい選挙戦を制して代議士となった鷲津は、息子・泰生の事件の隠ぺいを指示した人物が鶴巻だと知り、愕然とする。それでも、何とかして本人から真実を聞き出したい鷲津は、鶴巻の秘密を突き止めるため、梨恵と眞人に協力を求める。毎月第2・第4月曜、この2日間だけは何があっても予定を入れない鶴巻は、必ず5時ちょうどに党本部を出て行くという。鷲津は鶴巻の秘密を握るべく、行き先を突き止めようと動き出す。鶴巻に近い鷹野からも、それとなく情報を聞き出そうとするが、逆に「幹事長には手を出すな」と猛反対されてしまう。
第7話
鷲津は、鶴巻を厄介払いしたい竜崎総理の計らいで、幹事長室付近の監視カメラの映像を見ることができた。そしてそこには、泰生が転落した日の夜遅く、幹事長室に駆け込む鴨井の姿が映っていた・・・。鴨井の執務室を訪れた鷲津は、泰生を突き落とした犯人が誰なのかと問い詰める。何とかその場を取り繕おうとする鴨井を見て、鷲津は犯人が誰なのか確信する。しかし、弱者の支援に力を入れる鴨井を尊敬している可南子には、本当のことを言い出せない。眞人に対しても、眞人の兄の陳情をないがしろにしたのは犬飼ではなく自分だと打ち明けられずにいる鷲津。罪滅ぼしの気持ちもあり、今のうちに国会議員の立場を最大限利用して、できるだけ多くの困っている人たちを助けようと考えていた。
第8話
鷲津の息子・泰生の事件の真相を暴いた由貴の記事は、幹事長の鶴巻によって握り潰された。鷲津の行動をこれ以上見過ごせないと判断した鶴巻は、鷹野に鷲津を永田町から排除するよう命じる。一方、鷲津は、鶴巻が本気で自分を攻撃してくると覚悟を決めていた。そうなる前に、鶴巻の権力を奪うだけのネタを入手したいと考えていると、鶴巻が国内最大手のIT企業と特別な関係にあることをにおわせる一通のメールが届く。その差出人の名前を盗み見た眞人は、みるみる表情を曇らせて・・・。その頃、鶴巻が自らの息がかかった鴨井を日本初の女性総理にしようと暗躍していた・・・。そのことに気分を害した総理の竜崎は、鶴巻をけん制するため、泰生の事件を表沙汰にしようとする鷲津をバックアップする動きを見せる。
第9話
鴨井大臣の息子・文哉が、鷲津の息子・泰生を転落させたと鴨井自ら公表し、議員を辞職した。その記事が、鶴巻幹事長が警察に圧力をかけたことをにおわせたため、永田町に激震が走り、対応に追われる鶴巻派は大混乱となる。鴨井に足元をすくわれる形となった鶴巻は、思わぬ事態に苦々しい表情を浮かべる。追いうちをかけたい鷲津は、鶴巻が口封じに更迭させたと思われる事件を管轄していた警察署の元署長・辰吉から証言をとることにする。一方、世論が高まったことで、クリーンなイメージを印象づけたい竜崎総理は、一連の疑惑を徹底的に調査すると報道陣の前で明言。事実上、総理が味方に付いたような状況で、追い風を受けた鷲津は・・・。
第10話
鷲津は、内閣総理大臣補佐官に抜擢され、総理のお墨付き議員として躍進する。しかし、週刊誌に政治資金規正法違反の疑いを取りざたされ、政界内には怪文書が出回り、立場が危うくなる。幹事長を退いた鶴巻の仕業だと睨んだ鷲津だが、虻川が鶴巻の私設秘書として永田町に戻ってきたことにも不安を感じていた。しかし、竜崎総理のある一言で、いつの間にか芽生えた政治家としての野心に火がつき、今度こそ鶴巻を完全に排除すると竜崎に宣言する。その後、鷲津の留守中の事務所に由貴がやって来て、鷲津に頼まれたものを置いて帰る。権力によって記事をつぶされて以来、鷲津への信頼を失っていた由貴だが、ある思いから協力する気になったらしい。しかしそれは、ある人物の差し金だった・・・。
第11話 最終回
怪文書をばらまいた犯人は眞人で、動機は亡くなった兄の陳情を鷲津が取り合わなかったことだ。梨恵は、眞人に当時の状況を説明するが、眞人は、納得するどころか、秘書として尊敬できる先輩であり、密かに思いを寄せる梨恵が、真実を知りながら鷲津をかばっていたことにショックを受る。一方、副大臣のポストを逃したことで鷹野と決裂した鷲津は、総理官邸に呼び出され、竜崎にすっかり欲深くなった鷹野を黙らせるだけのスキャンダルをつかめと命じられる。鷲津は、今後のために総理に恩を売ろうと、早速、梨恵に鷹野の身辺を探るよう指示する。すると梨恵は、やりきれない表情で、ある人物に相談を持ちかけ・・・。鷲津の息子・泰生の事件をきっかけに、永田町にはびこる悪しき秩序を排除すべく国会議員にまで上り詰めた鷲津だったが、次第に権力という名の魔物に取りつかれ、更なる力を欲するようになると、鷲津を支えてきた秘書や、鷹野、由貴、可南子との関係にも異変が・・・!?
(関西テレビ「罠の戦争」より)
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