第1話
2023年、春のある朝。表参道の美容室で働くカリスマ美容師・萱島直哉(山田裕貴)は、ある人物に会うべきかどうか迷いながら電車に乗ろうとしていた。高校の体育教師・畑野紗枝(上白石萌歌)は、通勤途中の駅ホームにいた。視線の先には、密かに思いを寄せる消防士・白浜優斗(赤楚衛二)の姿があり、優斗もまた、ある複雑な思いを抱えながら電車を待っていた。互いに見ず知らずの乗客が、それぞれの目的地に向かって、車内で思い思いの時間を過ごす。そんな普段と変わらない朝がそこにはあった。そんな中、一瞬走るかすかな閃光、突如加速してトンネルへと吸い込まれていく電車、激しい衝撃音とともに揺さぶられる乗客たち!気づくと、そこには想像を絶する光景が・・・。
第2話
自分たちの乗った車両が30年後の未来へタイムスリップしてしまったと知った直哉たちは、極限状態を皆で乗り切るため、紗枝の提案を聞き、各々の持ち物を出し合い、平等に再分配することになる。しかし優斗が食料と水を集め始めた矢先、大量の飲み物が入ったカートを誰かが持ち去った痕跡が見つかる。誰が犯人なのかと疑心暗鬼に陥る佳代子、残り少ないモバイルバッテリーの電池を取り合う玲奈と米澤、樹海の中で水源を見つけようと動き出す直哉と優斗、植物から水を作り出そうとする加藤。各々が生きるために必死でもがく中、思わぬ暴走を始める人物が・・・。
第3話
貴重な水源を見つけたことで、飲み水が確保でき、乗客たちに少しの希望が見えたかに思われた。しかしその矢先、直哉が大切にしてきた美容師道具のハサミが入ったバッグが田中によって持ち去られる事態が発生する。田中を問い詰めると、帽子を被った怪しい人物を目撃し、護身用としてハサミを持ち出したのだと言う。直哉は、田中の言い分を信じられず、バッグを紛失されたことにいら立つ。一方、優斗たちは食料を調達しに向かうが、突然、紗枝の身にある異変が生じて・・・。その頃、佳代子はここで生きていく希望を失いかけていた。更に、乗客たちに新たな試練が襲い掛かる・・・!
第4話
森を探索していた加藤が何者かによって刃物で刺されるという緊急事態が発生してしまう!キャップ帽を被った犯人らしき人物は、すぐさま現場から逃走し、行方をくらましてしまう。直哉や紗枝は加藤の命を救うため、乗客の持ち物の中から傷口の処置に使えそうなものを集めはじめる。米澤たちは、加藤が残したメモを元に森へ薬草を調達しに行く。医師志望の和真も加わり、乗客たちが一丸となって懸命な処置を行なった。そんな中、優斗はふと、火災現場で先輩隊員に怪我を負わせてしまった自身の辛い過去を思い出してしまい・・・。
第5話
直哉、優斗、紗枝は、自分たちの乗っていた「5号車」と同時に未来に飛ばされた「6号車」の乗客と遭遇した。IT企業の社長で6号車のリーダー的存在だという山本、工務店に勤める植村らの案内で彼らの居住場所を訪れると、そこにはなんと調理場、トイレ、風呂、おまけに個室まで整えられた充実の暮らしがあった。山本は、元の世界に戻るために5号車の乗客たちとも協力し合いたいと提案するが、山本たちを簡単には信用できない直哉たち。しかし、山本は、どうして未来の世界がこうなったのか、そして元の世界に戻る手掛かりとなる事実が次々と告げられて・・・。そんな矢先、紗枝は優斗に好きな人がいると知ってしまい・・・。そして、直哉、優斗、紗枝、3人の関係も動き始める・・・。
第6話
紗枝と玲奈が樹海を歩いていると、死体が埋められているのを発見する。唖然とする2人の前に6号車乗客の矢島らが現れ、2人を捕まえようとし、紗枝だけが逃げ遅れてしまう。5号車の面々は、逃げてきた玲奈から事情を聞き、米澤の先導で護身用の武器を作ることに。加藤を刺し、紗枝を危険な目に遭わせた6号車の人々を、5号車の一同は敵と見なしつつあるのだった。一方紗枝を探して6号車へ辿り着いた直哉と優斗は、車内で衝撃的な光景を目撃し、山本を問い詰める。すると山本は、タイムワープ当日に起こった事件について語り始め・・・。
第7話
治安が悪化した6号車から5号車への移住希望者が現れはじめていた。そんな中、優斗たちは、地球を激変させた大災害の経緯が書かれた航海日誌と、佳代子らが持ち帰ってきた光る石に、元の時代に戻るヒントがないかと思案していた。そして、玲奈と明石が、温水が出る川辺を見つける。しかしそこは6号車が領土を主張する場所で、5号車の人たちは立ち入ることができなかった。優斗と紗枝が6号車へ交渉に向かおうとするが、直哉が2人を遮り、交渉役を買って出る。更に、元の時代に戻れることを信じていない直哉は6号車に移住すると言い出して・・・。
第8話
5号車後方のトンネル内に謎の黒い歪みが突如出現した。元の世界につながるワームホールなのか・・・?飛び込むべきか・・・?危険はないのか・・・?優斗たちがたじろいでいる間に、その歪みは消滅してしまう。しかし、希望を見出した面々は、再び歪みを出現させるために物理学教授の蓮見のタイムワープに関する研究内容をもとに、加藤の先導で過去に戻る糸口を探ることに。しかし、乗客たちはそれぞれ複雑な思いを抱えていて、玲奈や、お腹に子どもを宿す小春も危険を冒して過去に戻ることに消極的だった。一方、直哉は紗枝への気持ちに戸惑いを覚え、優斗もそれに気付きつつある中、直哉が思わぬ決断を。そして、再び歪みが現れて、物語は衝撃のクライマックスへ・・・!
第9話
再びワームホールを出現させ、なんとか現代社会へ戻ることに成功した乗客たちだったが、戻ったのは元いた2023年ではなく、地球環境が激変する半年ほど前の2026年5月だった!元いた世界から3年後ではあるものの家族との再会を喜ぶ優斗や紗枝たち。そして、成長した我が子を抱きしめる佳代子・・・。思い思いに現代へ戻った実感を味わう中、直哉も気にかけていた弟・達哉との再会を果たす。未来で見てきたこと、まもなく地球に起こる出来事について必死に訴える乗客たちだったが、警察や政府は彼らの証言を本気にしないばかりか、植村らの勝手な行動もあり、乗客たちは周囲からの好奇の目に晒されてしまう。ただ、加藤が未来から持ち帰った隕石を手にした物理学教授の蓮見だけは、何かに気づき・・・。そんな中、直哉の体にある重大な異変が起こっていて・・・。
第10話 最終回
5号車の元乗客たちの事実ではないことがネット上で拡散され、苦境に立たされる。直哉は、原因不明の手の震えに苦しみ、優斗もまたあらぬ誹謗中傷で休職を余儀なくされ「こんな世界、もう終わればいい」と思うほどの絶望の淵にいた。その頃、物理学教授の蓮見は、地球環境を激変させる小惑星の衝突について、新たな事実をつかんだようで・・・。そんな中、直哉は、5号車のメンバーが集まる対策会議に連れてこられ、そこには久々に顔を合わせる紗枝の姿もあった。そこでは、米澤の発案で一本の動画を公開することになり、その動画をきっかけに、事態は思わぬ方向へと動き出していく・・・。
(TBSテレビ、金曜ドラマ「ペンディングトレイン」より)
|