第1話
みゆきの市役所納税課徴税第三係に勤める饗庭蒼一郎(菊池風磨)の仕事は、滞納されている税金を徴収すること。「徴税吏員」と呼ばれ、税金滞納者の自宅を訪問し、時に財産を差し押さえることもある。いわば税金の取り立て屋だが、饗庭はノリが軽くて人たらし!柔和な笑顔とコミュニケーション力の高さで市民の懐に入り込み、豊富な税金の知識と巧みな話術で問題を解決していく。そんな第三係に、税金滞納者を真面目に追及する猪突猛進タイプの新人・百目鬼華子(山田杏奈)が赴任してきた。係長の橘は、研修のときから優秀だと買っているが、役所内でも敬遠されがちな徴税吏員の仕事を自ら希望してきた華子に、三係のメンバー、は「信じられない」と首をかしげる。そんな華子には徴税吏員になった深いワケがあり・・・。饗庭と華子は、住民税を滞納している和菓子屋「喜泉」の泉喜和(笹野高史)の元を訪ねる。店の借金返済に苦しむ泉は、住民税を滞納しているが、固定資産税だけはしっかり納めている。饗庭は、家に上がるなり早速税金を徴収しようとする華子をよそに、のんきに世間話を始めて・・・。
第2話
「みゆきの市役所」に、徴税吏員・饗庭の財務省時代の同期だった相楽が副市長として就任する。就任初日から市の税収減を厳しく指摘する相楽に、市長や納税課長も戦々恐々・・・。そして饗庭は、相楽と華子の意外な関係を知ってびっくり・・・!相楽がわざわざみゆきの市にやって来た理由とは?そんな中、納税課・徴税第三係に、テレビ取材の話が舞い込む。テレビで放送されれば税金滞納者の納付促進につながるし、何より目立てると担当の浜村は大張り切りで、撮影が行われる公営団地の家宅捜索に向けて準備を進める。饗庭と華子は、昨年から住民税を滞納しているパチンコ店従業員・小沼真名美(田辺桃子)の元へ徴収に向かう。再三にわたる督促状や催告書を無視し続けている真名美は、華子の顔を見るなり、「復讐に来たんでしょ?」と言い放つ・・・。実は、真名美と華子は小学生時代の同級生で、真名美は華子をいじめていたという因縁があり・・・。
第3話
みゆきの市で「子育ての街」をPRするために親子向けのハロウィーンイベントが開かれ、饗庭や華子ら納税課もカボチャの仮装でお手伝いしていると、お絵描きコーナーで子ども同士のイザコザが起こる。保育園児が描いた家族の絵を、別の保育園児が破ってしまったのだ。保育課の板谷がその場をなんとか収めるが・・・。イベントの後、饗庭は後輩の増野から、住民税を滞納しているシングルファーザー・木下裕介の件で相談を受ける。木下は1年前に妻を病気で亡くし、保育園に通う子ども2人を男手一つで育てているが、仕事と育児に追われて税金のことまで手が回らず、滞納額が膨れ上がっているという。家に行っても会えないため、饗庭と増野は、保育園のお迎えのタイミングを狙って木下に会おうとする。するとそこに、仕事と育児を完璧にこなしSNS上で「理想のシングルファーザー」と称賛されている瀬戸知宏が息子のお迎えにやって来る。そんな瀬戸とは大きく違いで、仕事と子育ての忙しさに疲弊する木下の力になりたい増野だが、木下から「役所を頼るつもりはない」と突っぱねられてしまう。更に、離婚してシングルマザーになったことで税金が払えないと言う出渕恵美が、税金の執行停止を求めに納税課へやってくる。
第4話
隠れ待機児童の改善を求める饗庭と華子の前に、副市長・相楽は、より多くの税を集めることが先決だと言い放つ。更に、今年度の徴収率98%以上を目指すと宣言し、目標達成のためなら人員整理も辞さない考えを示す。一方その頃、成績を上げたい浜村は、第三係のみんなに隠れて、徴収率トップを走る第一係への異動を画策していた・・・。饗庭と華子は、住民税と固定資産税を滞納しているプロサッカー選手・小田倉翔馬に注目する。元日本代表の小田倉は高い得点力とビッグマウスで世間をにぎわせてきた人気選手だ。しかし、2年前のケガをきっかけに2部リーグの「みゆきのエクイータ」に移籍し、年棒が激減したことで納税が困難になり、その滞納額は延滞金も合わせて860万円に上っている。饗庭と華子は「俺も担当に入れてよ」と急に首を突っ込んできた浜村も連れて「みゆきのエクイータ」のグラウンドを訪れる。ところが小田倉は、滞納なんて何かの間違いだと言い張って、ろくに話も聞いてくれない。饗庭たちは、居合わせたスポーツライター・犬飼から、今シーズン限りで小田倉がチームを解雇されるかもしれないと聞かされる。そんな中、浜村は日比野から小田倉の税金滞納をマスコミにリークしてほしいと言われる。「あなた、一係に来たいんでしょ?」と守秘義務違反をそそのかす日比野の目的は・・・?
第5話
みゆきの市役所納税課第三係の徴税吏員の加茂原は、行きつけの銭湯で仲良くなったベトナム人・グエンの力になろうとしていた。グエンは、農業の特定技能ビザで2年前に来日したが、国民健康保険税の納め方が分からなくて滞納してしまっていた。加茂原は「今度、市役所に来てよ。ゆっくり教える」と伝える。一方、饗庭は近所のスーパーで華子とばったり鉢合わせし、華子にみゆきの市の農家「いくしま農園」が作る野菜を薦めていると、レジの方で「さっさとしろよ!」と男性客の怒鳴り声が聞こえた。どうやら、日本語が分からないベトナム人店員にクレームをつけているようだった。翌日、第三係の窓口にグエンが納付の相談にやって来た。饗庭たちが調べてみると、グエンは国保税だけでなく住民税も納めていなかったことが判明する。住民登録されてはいるものの、所得が分からないため、市の方から納付を案内できなかったのだ。改めて納付の仕方を説明するち、グエンは突然思い出したように、「住民税は、農家さんが払っていると思います。契約の時、約束しました」と、住民税は給料から天引きされる契約のはずだと主張。しかし、実際に納められた記録はなく・・・。饗庭と華子はグエンが働く「いくしま農園」を訪ねと、農園の代表・生嶋妙子は元々夫婦で農園を営んでいたが、2年前に夫を亡くしてからは外国人労働者を雇って切り盛りしているようだ。饗庭が事情を説明すると、生嶋は、住民税はグエン自身で払う契約になっていて、天引きなんかしていないと言う。契約書にもグエンのサインがあり、饗庭たちはグエンの勘違いとして事態を収めようとするが・・・。
第6話
徴税第三係の窓口に、熊川弘三がバイクを手放して名義変更も済んでいるのに、軽自動車税の納税通知書が届いた怒鳴り込んでくる。大声を出す弘三は、華子が事情を説明しても、聞く耳を持たずに騒ぎ立て、それを見かねた饗庭が助け舟を出してその場を収めるが・・・。そんな中、税金滞納者から差し押さえた物品を売却して現金に換える、「インターネット公売」が始まる。ところが、公売商品のうち、何の変哲もない「ゆで卵器」の入札価格が、200円から始まり、競りで100万まで跳ね上がる・・・。競り合っているのは熊川一哉と熊川英二で、「ゆで卵器」の元の持ち主・熊川良太郎の息子たちだ。数か月前、良太郎が経営していた会社が倒産し、固定資産税や住民税を滞納するようになったために差し押さえた「ゆで卵器」だった。担当した第一係の係長・日比野の話では、差し押さえの後、良太郎は持病の悪化で急逝したらしい。良太郎は独り身だったため、滞納金は息子たちが相続して納めなければならない。良太郎には一哉と英二の他に、もう1人息子がいて、それが三男の熊川弘三だ・・・!昔は仲が良かった三兄弟。だが、あることがきっかけで疎遠になり、さらに父の滞納金を巡って深い遺恨が生まれていたのだった。兄弟が「ゆで卵器」を取り合うワケとは?饗庭たちが「ゆで卵器」の謎に迫る・・・!
第7話
納税課庶務係で還付金の振り込みミスが発生する。昨年度分の扶養控除や医療費控除の還付金、合わせて1千万円を、庶務係の担当者が誤って1人の口座に振り込んでしまったのだ。このことが世間に知れたら市の面目は丸つぶれで、次の市長選で再選を目指す米田市長の立場も危うくなる。間違って還付金が振り込まれた市民は「自分の口座に入ったお金は自分のもの」と言って返還に応じない。米田市長は、その市民が住民税を滞納していることに目を付け、納税課第三係に「滞納処分の名目で口座を差し押さえろ」とムチャを要求。「あり得ませんよそんなこと」と華子が反発するが、その市民は、元徴税吏員だった羽生詩織で、華子の憧れの人だった。饗庭は動揺する華子を気遣いつつ、2人で羽生の元を訪ねと、8年前に市役所を退職した後、父親が経営する学習塾に転職し、5年前に父親が亡くなってからは1人で塾を経営していた。華子との再会に笑顔を見せる羽生だったが、華子が徴税吏員になったことを報告した途端、表情を曇らせる。更に、饗庭が還付金の返還を求めると、羽生は条件付きで返還に応じると言い、返還の条件として米田市長との面会を求めてきた・・・。なぜ羽生が市長との面会を求めるのか!?明らかになる、みゆきの市の闇・・・。
第8話
「徴税禁止リスト」の存在を知った饗庭と華子は、その存在を否定する副市長の相楽に詰め寄り、リストの現物が見つかれば市として調査・公表することを約束させたが、今のところリストに関する手がかりは何もない・・・。ある日、饗庭と華子は、住民税を滞納している大学生・星野芽依から滞納金を徴収するため、芽依のアルバイト先であるクラブに潜入する。芽依は19歳の学生で、納税に関心がなく「本当に払わなきゃダメなの?」とまるで他人事。徴税吏員の饗庭たちに向かって「払わなくて済む秘密の裏技教えてよ」と突拍子もないお願いをしてくる。芽衣が言うには、その裏技を使って税金を納める必要がなくなった同級生がいるらしい・・・。芽依の言う裏技を使ったのは、若月大輝で、数か月前、若月と市の職員らしき男が話し込んでいるところを目撃。後で若月に聞いてみると、男は徴税吏員で「あの人が何とかしてくれたんだ」と、その男のおかげで納税する必要がなくなったと言っていたらしい。記録では、確かに若月は今年の夏ごろ、それまで滞納していた住民税を一括納付していた。担当者の欄には加茂原の名前が・・・。そんな中、若月のアルバイト先の清掃会社「SGRクリーンサービス」が相楽グループの会社だと知った饗庭たちは、若月の件に徴税禁止リストが関係しているのではないかと疑う・・・。そして饗庭は、ついに徴税禁止リストを手に入れる・・・!
第9話
「徴税禁止リスト」の証拠をつかみたい、みゆきの市役所納税課第三係は、徴収を見逃されている滞納者の銀行口座の情報を手に入れるしかないと考える。その頃、相楽は第一係の日比野みのり係長に頼んで、税金を滞納している相楽グループの企業や関係者を立て続けに捜索させていた。饗庭は「徴税禁止リスト」の存在を否定するために、あえてトカゲの尻尾切りをしているのではと推測する。しかし、その尻尾切りの影響で、みゆきの商店街は存続の危機に立たされてしまう。商店街でそば屋を営む自治会長の守谷哲明は、取引先である相楽関連の業者の相次ぐ倒産や値上げによって資金繰りが悪化し、税金を滞納していた。守谷に限らず商店街の多くは相楽グループと取引があるため、その煽りを喰らっていた。守谷は、商店街にとって相楽グループの力は必要不可欠と考え、守谷の娘・香澄も、町おこしNPOの代表として一緒に商店街を盛り上げていこうとしている。そんな中、饗庭たちに「徴税禁止リスト」の証拠をつかむ千載一遇のチャンスが訪れる。相楽グループの子会社「サガラトノサキ製作所」がリストから外されたことで、法人住民税や固定資産税など合わせて約2億円もの滞納が発生したのだ。饗庭たち納税課第三係は、調査に乗じて口座情報を調べられると考え、「サガラトノサキ製作所」へ向かう!しかしその裏で、相楽グループ会長で、相楽の父・耕史郎が立ちはだかろうとしていた・・・。
第10話 最終回
相楽は「奥林のためにも、父の不正をただす。だからみゆきの市に来たんだ」と、副市長になった本当の理由を饗庭と華子に打ち明けた。「徴税禁止リスト」を作成し、特定の企業や関係者に納税を逃れさせていた黒幕、相楽グループの会長である父・耕史郎の悪行を暴くため。そして、その不正に無理矢理関与させられていた友人・奥林の無念を晴らすため・・・。3年前、奥林はなぜ屋上から身を投げなければならなかったのか・・・。あの時、相楽と奥林は何を話していたのかが、相楽の口から明かされる・・・!饗庭たち第三係は、ついに「徴税禁止リスト」の真相にたどり着く。「徴税禁止リスト」によって納税の義務を不正に逃れている相楽グループの推定滞納額は、法人住民税や固定資産税など5年分で約45億円・・・!その莫大な額に及ぶ不正の証拠をつかむため、第三係は徴税吏員に与えられた切り札を使って、巨大企業・相楽ホールディングスの捜索に動き出す!しかし、息子の裏切りに気付いた耕史郎は、市長の米田、財務部長の浦部と結託して、すでに先手を打っていた・・・。饗庭たち第三係が巨悪に立ち向かう最終決戦、「公務員、なめんなよ」。
(日本テレビ「ゼイチョー 「払えない」にはワケがある」より)
|