第1話
とある街にある「アパートの清水」。売れない漫画家・狩野進が、彼女にフラれるところを同じ階の秋友美月(山本舞香)に目撃される。そんな中でも、1人暮らしの少年・さとうコタローは、朝の準備を進めていた。この春から小学校に入学したコタローは、ランドセルを背負い、1人で小学校に通っていく。その姿を、狩野や美月、そして1階の田丸勇(生瀬勝久)は頼もしくも少し寂しい気持ちで見送るのだった。そんなある日、コタローは突然「職業訓練」を始めると言い出し、美月が働く喫茶店や大家の清水のばーさん(イッセー尾形)、そして親友の岩永佑(松島聡)のもとを訪ねては、さまざまなことを学ぼうとする。意図がわからず困惑する狩野だったが、コタローは「いつ優しき者からの寄附が終わってしまうかわからないので、自分の力で生き抜くために手に職をつけたい」と言うものだった。狩野は「俺の仕事も手伝ってみるか?」と声をかけ、早速、締め切り直前の狩野の作業を手伝い始めたが・・・。
第2話
ある日、コタローの前に謎の大学院生・宇田桃葉が現れた。「アパートの清水」の103号室に引っ越してきたこの男は、コタローの父上の存在を知りながら母上をゆーわく致したという。コタローがこれほどまでに人を嫌うのを初めて見た狩野進は、住人の秋友美月と田丸勇、コタローの親友の岩永佑、そして弁護士の小林綾乃を緊急招集。みんなで事情を探ってみるとともに、コタローの身に危険が及ばぬよう警戒することにする。そんな中、学校から帰宅したコタローを見て、ここ数日で急激に太ったように見えた狩野たち・・・。心配した狩野と美月は、ちょうど学校で開かれる給食の試食会に保護者として参加してみることに・・・。さらにコタローは足の痛みも訴え始め・・・?
第3話
宇田は「アパートの清水」に入居し、狩野らに「覚悟を持ってここに来た」と言った。コタローが会いたくないと思っていることもわかっていた、という宇田の真意をはかりかねる狩野たちは「コタローが嫌なら追い出してやってもいい」と話す。しかし、コタローは「1カ月くらいなら様子を見てあげてもよい」と予想外の反応を見せる。コタローは、母の小夜梨が宇田の前では楽しそうに笑っていたことを覚えていたのだ・・・。そんな中、狩野のもとに「宇田のことについて話したいことがある」と弁護士の鈴野から連絡が入る。鈴野と狩野は、美月が働く喫茶店で会い、宇田がコタローに危害を及ぼすような人物ではないと聞くのだが・・・。
第4話
ある日、学校帰りのコタローは、漫才コンビ「ロングコートダディ」の路上ライブのチラシを見つける。その日は最前列でライブを鑑賞したコタロー。この先一週間はここでライブをしていることを確認し「また来るぞよ」と言い残して帰っていく。一方、漫画のネタ探しに頭を悩ませる狩野は、離れ離れに暮らす息子のことで悩む田丸の話にも満足に耳を傾けられない・・・。あてにならない狩野に頼るのをやめた田丸は、帰宅したコタローに相談を持ちかけ・・・?翌日も、その翌日も、ライブにやってきたコタローは、最前列に陣取るが、ライブには目を向けず、なぜか一緒に来た同伴者のほうばかりを見ているのだった。コタローが毎日通ってきていた理由とは・・・。
第5話
コタローは、竹馬の友・佑のために誕生日会を企画するが、当の佑は浮かない表情だった。狩野も「佑くんの誕生日は1週間後では・・・?」と不思議に思う。実は佑が「誕生日」としていた日は児童養護施設「空の家」に拾われた日で、コタローは、佑の本当の誕生日を祝おうと考えたのだ。「拾ってくれた日があったから今がある。だから誕生日は拾われた日」と思っている佑・・・。そんな佑を銭湯に誘った狩野は、コタローが去年の誕生日に話していた、あることを佑に伝える・・・。ある日コタローが佑のもとにやってくる。コタローは佑が働くスーパーで売っているキャラメルが好きで、よく買いに来ていたのだ。そしてそのキャラメルには、コタローと父を繋ぐ、ある秘密が隠されており・・・?
第6話
コタローの友だちを集め、一緒にクッキー作りを楽しんでいた美月は、作りすぎたクッキーを狩野におすそ分けしに来ていたところへ、美月の母・皐月が美月を訪ねてきた。よりによって美月が狩野に押し倒されているかのような場面を目撃されてしまい、いきなり誤解を生んでしまう・・・。以前のように、ダメ男に引っかかっていないか、仕事は上手くいっているか・・・美月を心配し、様子を見にきた皐月だったが、美月はそんな母と素直に向き合うことができず・・・。そんな美月に、腹を割って話させようとビールを手渡したコタローだったが、それがまさかの事態を招いてしまう・・・!一方、コタローのもとに毎月の生活費を届けに来ている弁護士の綾乃も、家族の関する悩みを抱えていて、ある会話をきっかけに、思わずコタローに話してしまう。コタローは、それぞれが抱える家族の問題を知り、1つの決断を下す!?
第7話
以前、「アパートの清水」の101号室に住んでいた女性が育てていたサボテンが、今もなお同じ場所にある。その女性は、まだ夜も明けきらない朝早くにゴミを出し、人目を避けるように生活していて、退去する際に大家の清水のばーさんにそのサボテンを託していった。狩野はその女性を知っていたが、誰なのかまでは知る由もない。ある日、小学社の編集者・矢野来夢が、狩野を訪ねてくる。そして、現在連載中の週刊誌が来月号をもって休刊するということを告げる。他誌で連載を継続できるよう調整中だというが、差し当たって「無職」になってしまうため、佑の紹介でコンビニでバイトを始めることにする狩野。だが、自分の漫画を楽しみにしてくれているコタローに、無職になってしまったことが言いづらく、佑や美月に「コタローには黙っててくれ」と頼むのだった。
第8話
「みんなでどこかへ行きたい」というコタローの提案で海にやってきた「アパートの清水」の住人たち。大はしゃぎするコタローを笑顔で見守る狩野たちだったが、急に自分から誘ったり、みんなを労るような行動を見せるコタローの様子に、どこか違和感があった。アパートに戻ったコタローは「もう思い残すことはない」とつぶやき、みんなに衝撃の事実を打ち明ける。「父上から手紙が届いた。わらわと一緒に暮らしたいと」。コタローの父からの突然の申し出に、驚きを隠せない狩野たちだが、これまでの行動を思い返すと、更生したとは信じることができない。それでも父と暮らしたいというコタローの思いを汲み、退去の日までの時間を過ごす中で、狩野はある事実に直面することになる・・・?
第9話 最終回
コタローは、母・小夜梨の死を受け止め、狩野の前で泣くことができた。父と暮らすための準備に取り掛かっていく中、弁護士の鈴野は狩野を通して、小夜梨の遺品のスマホをコタローに渡す。小夜梨から「いつかコタローが自分の死を知った時に見せてほしい」と鈴野はスマホを託され、コタローに「大事なのは今の気持ち。どうしたいのかよく考えて」と伝える。スマホとパスコードを渡し、部屋を去ろうとする狩野に「ここにいてくれぬか」とコタローは頼む。狩野が見守る中、母のスマホに遺された写真や動画をじっくりと確かめていったコタローは、最後に母が遺した「幸せになってね・・・」というメッセージを聞き、「幸せとは何か」を考え込む。「幸せ」がわからないというコタローに「父親と暮らすことが幸せなんじゃないか?」と狩野は言う。そうしてついに迎えた別れの日・・・。
(テレビ朝日、オシドラサタデー「帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし」より)
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