第1話
吉野ひかりは、ペットスパサロンの面接で社長の上野原美鶴を相手に、自分がいかに犬が好きで犬にも好かれるかを力いっぱい熱弁する。そして晴れて憧れのペット業界への就職が決まり、住むところも格安で見つけることができた。激安物件に不安になりながらアパート「サニーハイツ青柳」を見にきたひかりは、さっそく怪しい男と遭遇する!思わず犬の鳴き真似で男を驚かせたひかりだったが、その男・小原樹は一連の行動を「仕事」だと言い張り、そのまま立ち去ってしまう。裁判所の職員で、裁判で出された判決が実行されない場合、それを強制的に執行する執行官だった。小原は、「サニーハイツ青柳」に住む二川研一(中村俊介)一家の家賃滞納に関する調査を行っていたのだ。
第2話
勤めていたペットサロンの社長・上野原美鶴が夜逃げし、突然職を失った吉野ひかり。執行官の小原樹は、そんなひかりを東京地方裁判所南目黒支部へと連れて行き、犬担当の執行補助者に任命する。かくして執行補助者になったひかりは、優秀な事務員の栗橋祐介から「執行の手順」などについてレクチャーを受ける。そして小原に連れられ、初めての案件へと向かう!その執行相手とは人気EXtuber「ハット」こと轟木羽人(細田善彦)。元相方の「ブケショ」こと山田史嗣(内野謙太)からの動産執行の申し立てにより、差し押さえの執行手続きを開始した小原たちだったが、鍵担当の砥沢譲吉の解錠で部屋に入ったところを轟木の動画チャンネルで生配信されてしまう!
第3話
小原と栗橋が、保護動物カフェまでやってきた。「まさかこの店も執行対象に!?」と焦るひかりだったが、要件は「もう一度、執行補助者として助けてほしい」というものだった。「犬を相手にする保護動物カフェの仕事より、人を相手にする執行補助者のほうがやりがいがあるのでは」という小原の無神経な言葉にムッとしつつも、犬がいると分かっていてわざわざカフェまで来てくれたことが気になり、後日仕事終わりに東京地方裁判所南目黒支部の執行官室を訪れる。すると小原から、早速執行対象であるパチンコ店に「屈強なブルドッグ」がいるようなのでと、そのまま現場へ連行されてしまう!そこではなんと、売上金そのものを差し押さえるという作戦を決行する!小原とひかりが向かった次の案件は、公団住宅の賃料不払いによる明け渡しと動産執行。住人の矢上遼一は判決が出てから2カ月経っても部屋を出ていく気配がなく・・・。
第4話
ひかりは小原から執行官という仕事に対する思いを聞き、人の人生の極限状態に向き合い続ける現場に「胸がざわざわ」してしまったひかりは、これっきりで執行補助者の仕事を辞めたいと打ち明ける。程なくして、ひかりが住むアパート「サニーハイツ青柳」の空き部屋に、執行官室事務員の栗橋が引っ越してくる!ひかりは、銀行員だった栗橋がなぜ今の仕事に就いたのかを聞き・・・。そんな中、小原は2人の保育園児を持つシングルマザー、山家佳菜江の執行に向けて調査を進めていた。しかし、佳菜江の所在がなかなか掴めず、更に立会人の須賀川悟が現場に来られないと聞いて途方に暮れていた小原の前に、大きな犬を連れたひかりが現れる。「もう少し執行官の仕事を知ってみたい」という言葉に、小原は、ひかりを今回だけ特別に立会人として、佳菜江の執行の現場に連れていくことに!
第5話
アルバイトで犬の散歩をしていたひかりは、夜逃げしたペットサロンの元社長・上野原美鶴に呼び止められる。上野原は犬とトリマーのマッチングアプリの会社を始めていて、「これはペット業界を天職とするあなたのための仕事よ」とひかりを誘う。ますますパワーアップしている様子の上野原に、あ然とするひかりだったが・・・?そんなひかりのもとに、執行官の小原が仕事の連絡にやってくる。今回の案件は、「花巻みらいクリニック」の院長・花巻健吉への、医療機器代金未払いによる動産差し押さえ。執行当日、栗橋らとともに「花巻みらいクリニック」にやってきたひかりは、健吉の娘で医師の利恵とその兄で事務長の康介に迎えられ、客間へと通される。ひかりは、健吉と利恵、康介が何かと言い争っているのを目撃し、家族内に何かトラブルがあるのを察する・・・。
第6話
不動産競売の開札会場に当該マンション所有者の佐久山伸司が乗り込んでくる。佐久山は、息子が借金の担保に勝手に部屋を抵当に入れていたため、住んでいる部屋を出ていかなくてはならなくなっていたのだった。後日、明け渡しの催告に行くことになった執行官の小原は、佐久山が犬を飼っているという情報があり、ひかりに同行を依頼する。佐久山は、1カ月後に強制執行が行われることを伝えるも、頑なに「出ていかない」と言い張る。困惑しながらも部屋をあとにする小原たちを佐久山の孫・真琴が追いかけてくる。そして真琴から祖父の佐久山と2人で暮らしている理由や父親の借金の話などを聞く。その頃、執行補助者の長窪から、「人助けだと思って、ウソに付き合ってほしい」と頼まれたひかりは、長窪の母・頼子と対面する。長窪は頼子から再三見合いを勧められて困っており、ひかりを「結婚相手」と偽って紹介し、見合いを断ろうとしていたのだ。
第7話
ひかりは、ある決意を胸に小原に会いに行ったのだが、緊張のあまり言い淀んでいると、そこにまたしても元上司である上野原が現れる!「執行されてすっからかん」と話す上野原は、新たに始めたペット事業へのクラウドファンディングにひかりや保護犬カフェの千尋を巻き込もうと、その場からひかりを連れ去ってしまう!小原は、ひかりが言い残した「小原さんに、ほ・・・」という言葉を思い出し、ひかりが自分に惚れているのではないかと妄想を巡らせる・・・。そんなある日、小原のもとに急遽執行の案件が舞い込む。「タンタンファイナンス」という消費者金融から金を借りた債務者の朽木茂雄が、厳しい取り立てを恐れ失踪した。小原とひかりは妻からの連絡で、債務者の家に向かうことになったのだが、債権者である「タンタンファイナンス」の社員・土山次郎も同行すると言い出す。債務者の家に差し押さえられる物品が無かったことから、小原はこの件を「執行不能」と判断すると、土山は激高し、まさかの行動に・・・!
第8話
小原のもとに、19歳の女子学生への執行事件が舞い込む。19歳も成人扱いとなり、借金もでき、このようなケースが増えているのだとひかりに説明し、ある贈り物をもらう。自宅に帰って中を見ると、「こども六法」と文庫本の「老子」が入っていた。「きっと君を守る盾と闘う武器にもなる」という小原の言葉を胸に、ひかりは「こども六法」から読み始める。翌日、女子学生・白河杏奈の自宅へ動産執行に向かった小原とひかり。杏奈の母・登和子は、娘が借金していることを信じられなかったが、帰宅した杏奈が逃げ出そうとしたことで、事実を受け入れ、動産執行に応じる。登和子が借金の理由を尋ねるも、「女子大生はお金がかかる」とはぐらかす杏奈だが、実は杏奈は大学内で横行している投資詐欺に遭っていたのだ!一方、司法試験の予備試験を控え、仕事を休んで猛勉強中の栗橋は、ひかりの前で高熱を出して倒れてしまう・・・。
第9話 最終回
ひかりは、小原たちの前で「いつか執行官になりたい」と、重大発言をする。室長の日野らに現実的な厳しさを説かれるが、ひかりは、小原だけは自分の決断を喜んでくれると思っていたが、小原からも「勧める自信はない」と言われてしまう。そんな中、小原のもとに「子どもの連れ去り」という最も難しい案件が舞い込む。娘の碧唯と愛犬を連れ、黙って家を出てしまった夫の興津大輔に対し、「子どもの引き渡し」を求める仮処分の申し立てをしていた妻の凪咲。家庭裁判所は引き渡しの判決を出したものの、大輔側がその決定に従わなかったため、子どもを執行し、凪咲のもとに連れ戻すというもの。ひかりは、凪咲本人と弁護士の串木田克子の希望もあり、この事件に執行補助者として協力することになる。そして、大輔が栗橋の大学の先輩だということが判明し、栗橋が大輔から聞いていた話と、凪咲が裁判所で話した内容にあまりにも違いがあった。不安を抱えながら執行当日を迎える小原たちだったが、想定外の出来事が発生し、小原はショックを受けてしまう・・・。
(テレビ朝日「シッコウ!!~犬と私と執行官~」より)
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