第1話
蔵前勉は、人気女優・笠原梨乃を30年間サポートしてきた超敏腕マネージャー。スケジュール管理や的確な仕事の精査はもちろん、プライベートでのトラブル処理まで完璧なマネジメント力を発揮し、梨乃を日本のトップ女優にまで押し上げてきた。天野杏(平手友梨奈)は、最年少で司法試験に合格した超エリート新人弁護士。杏は、「香澄法律事務所」に所属していて、法律の知識は誰にも負けないが、人とのコミュニケーションが苦手な上、猪突猛進な性格が空回りしてし、弁護士として全く成果が出せないでいた。蔵前は、夢だった梨乃の海外進出が現実になろうとしていたとき、「あなたの仕事は誰がやっても変わらない」と、梨乃から突然、解雇を言い渡された。梨乃の言葉に絶望した蔵前は、雨の中、ずぶ濡れになりながら駅までたどり着くと、電話で誰かと言い争う女性が書類を落としたことに気付く。蔵前は、しの女性が弁護士バッジをつけていたことから当たりをつけ、香澄法律事務所まで書類を届ける。蔵前がマネージャーを解雇されたと知った所長の香澄今日子(戸田恵子)は、蔵前をパラリーガルとして雇い、杏とバディを組ませようと思いつき・・・。
第2話
蔵前勉は、パラリーガルとして「香澄法律事務所」に所属する、コミュニケーションが苦手な、猪突猛進タイプの新人弁護士・天野杏とバディを組むことになった。その日も杏は、所長の香澄今日子(戸田恵子)から経費の使いすぎを指摘されると、それに反発し、話の途中で勝手に席を立って自分のオフィスに戻ってしまう。そんな杏の営業成績を伸ばすために、蔵前は仕事用のSNSアカウントを準備し、告知や営業活動に役立てようと動き出す。そんな中、杏のもとへ、杏の中学校時代の同級生・若宮円(渡邊圭祐)の母・若宮翔子(有森也実)が仕事の依頼にやってくる。翔子は、人気動画配信者の合田修吾(曽田陵介)を訴えたいと杏に告げる。円は、合田を中心としたクラスメートたちから酷いいじめに遭い、中学1年の途中から不登校になり、それ以来7年間、一度も外に出られないのだという。円に会いにいった杏は、合田に復讐をしたいという彼の意思を確認し、民事訴訟で合田に慰謝料を請求することにする。
第3話
「香澄法律事務所」の所長の香澄今日子が、情報番組の法律相談コーナーに出演するということで、事務所の面々はテレビの前に集まっていた。堂々とトークをこなしつつ、しっかり事務所の宣伝までする今日子を絶賛する蔵前だが、実はこのテレビ出演は、天野杏を売り込むために蔵前が仕込んだものだった。おかげで事務所には法律相談の依頼が殺到し、杏と蔵前のもとに、私立小学校に通う10歳の少年・樋口翔がやってくる。翔は、母を殴って警察に逮捕された父の傷害事件の弁護を依頼した。翔は「父はどうなってもいいんですが、僕に迷惑がかかるのは嫌です」と杏たちに告げ・・・。杏とともに翔の父・樋口徹に面会した蔵前は、樋口は元プロ野球選手で、日本代表としても活躍していたことに気付く。2年前にケガで球団をクビになり、現在は宅配のドライバーと深夜の工場で清掃のアルバイトをしていた。樋口が暴力を振るった原因は、妻の明乃が翔を連れていなくなり、いきなり離婚を突きつけてきたことから言い争いになったようだ。この件を引き受けることにした杏は、明乃の代理人弁護士と示談交渉に臨むが、その相手とは、杏の姉・天野さくらが所長を務める「天野法律事務所」の弁護士・海堂俊介だった。
第4話
弁護士の天野杏は「香澄法律事務所」の同僚たちの名前を覚えていなかった・・・。パラリーガルの丸屋泰造や岩渕亮平、先輩弁護士の辻井玲子だけでなく、何と蔵前の名前も覚えていなかったのだ。蔵前は、相手のことを知り、情報を共有することでスムーズに仕事もできるようになる、と杏に助言するが・・・。そんな中、杏は所長の香澄今日子に呼ばれ、山崎慶太が手がけている強盗致死事件の裁判員裁判に協力するよう命じられる。裁判員裁判は見栄えの良い人が有利という理由だ。被告人は30歳の日雇い派遣労働者・木原健太。木原は、深夜ひと気のない路上で被害者の後藤敦と肩がぶつかったと口論になり、もみ合ううちに階段から転落した後藤は、頭を強く打ち病院へ搬送されたもののその後死亡。木原は、現場から逃亡したが、後に自首していた。現場から後藤の財布とスマホがなくなっていたことから、検察は強盗致死として木原を起訴していた。山崎は、量刑が軽い傷害致死を主張するつもりだというが、杏は強盗致死だと言い出し、金品を奪ったことを認め、自首したことをアピールして減刑を狙うと言い出す・・・。
第5話
ある朝、蔵前勉は、出勤途中に突然腹痛に襲われ、救急車で病院に搬送される。そして、痛みをこらえながら「香澄法律事務所」所長の香澄今日子に連絡を入れる。実はこの日、今日子の大事なクライアントとの打ち合わせが入っており、蔵前は多忙な丸屋泰造に代わって今日子のパラリーガルを務めることになっていた。そこで、今日子は代役として天野杏にサポートをするよう説得し、杏は渋々承諾した。ほどなく、今日子の大切なクライアントからの紹介で、上畑亮と妻の順子がやってくる。上畑夫妻には、大学3年生の健という息子がいて、ボクシングで日本代表の強化選手に選ばれるほどの逸材だった。しかし、同学年の選手・相羽幸喜とのスパーリング中に強いパンチを受けて、脳しんとうと頸椎捻挫で入院を余儀なくされたのだという。スパーリング中の事故という説明に納得出来ずにいた上畑夫妻は、大学側の安全義務違反を問えるかどうか相談に来た。実は健は、「練習中に事故が起きても大学や相手選手を訴えない」という誓約書にサインしていた。それを聞いた今日子は、自筆のサインが入った誓約書をひっくり返すのは難しいと考える。だが杏は、「逃げ腰になるのは二流のやり方」と言って、今日子を差し置いて大学側の過失を争おうと提案してしまい・・・。
第6話
蔵前勉は、盲腸で入院していたが、無事退院し「香澄法律事務所」に戻って来た。「蔵前の代わりに寝不足になった」などと当たられつつも温かく出迎えられる。すると天野杏は「あなたがいなくても全然平気でした」と言いだし、所長の香澄今日子までもが、杏は自分のパラリーガルとしてサクサクやってくれたと・・・。仕事を終え、帰路についた蔵前は、途中で偶然、同級生だった麻生一郎に出会う。麻生は東大卒のエリートで、有名予備校「レルネンアカデミー」の講師をしながら、教育系動画も配信していた。蔵前は、麻生に誘われ彼の家を訪問すると、妻の悦子や高校2年生の娘・光希から歓迎される。後日、麻生は「香澄法律事務所」にやってきて、遺言状を作成してほしいと依頼する。更に、遺言状とは別に相談があると言ってタブレットを見せる。最近、彼の動画に同じアカウントからの誹謗中傷の書き込みが増えていることを打ち明ける。依頼を引き受けた杏は、プロバイダーを相手に、発信者情報開示命令申立および消去禁止命令申立を行うが・・・。
第7話
「香澄法律事務所」に野村聖子という女性が訪ねてくる。聖子の依頼内容は「笠原梨乃が主演している連続ドラマの放送を止めて欲しい」というものだった。20年前、「成金老人殺人事件」と呼ばれた事件があった。その事件は、裕福な老人の愛人だった女子大生が財産目当てに毒を飲ませて殺害したとされ、連日ワイドショーが報道していた。その女子大生が、聖子本人で、事件直後からマスコミに追い回され、世間が飽きてくると次第に扱いも小さくなり、真犯人が逮捕されたときは概ね報道されなかったという。そのために、聖子は世間から殺人犯だと勘違いされたまま何年も偏見の目にさらされてきた。最近ようやく何も言われなくなったと思っていた矢先、「成金老人殺人事件」に酷似した事件、しかも女子大生が真犯人だとするドラマが放送されたのだ。聖子は、放送しているヤマトテレビに抗議したがまともに取り合ってもらえなかったという。このドラマのせいで小学生の娘が「人殺しの娘」と呼ばれたことに心を痛めた聖子は、かつてヤマトテレビと法廷で戦った経験を持つ杏の存在を知って助けを求めにきた。依頼を引き受けた杏は、過去の記事などを調べ始め、蔵前はヤマトテレビのドラマプロデューサー・静川薫を訪ねる。そしてそこで蔵前は梨乃と再会し・・・。
第8話
蔵前勉の前に、女優の笠原梨乃が現れ「やっぱり私にはあなたが必要なの。戻ってきてほしい」と言って頭を下げる。蔵前は、突然のことに困惑しつつ、去って行く梨乃の背中を見つめていた。翌日、「香澄法律事務所」では、所長の香澄今日子が、売り上げが少ない天野杏と山崎慶太を𠮟責する。今日子は金持ちの遺産相続など、もうかる案件を見つけてこいと命じていると、早川ゆう子という女性が駆け込んでくる。ゆう子は、父の遺産を姉に渡したくないという。ゆう子によれば、父・佐野将太郞の遺産は、預金は無いが、人より猿の方が多いと言われる山梨・猿飛村の実家と土地に山がひとつ。それを聞いた今日子は、この件を杏に担当させると、蔵前には資産価値がないから「相手から断られるように話を持って行け」と指示する。ゆう子は観光業、姉の佐野温子はアパレルで働いていた。3年前に将太郎の介護が始まると、温子は仕事を理由にゆう子にすべてを押しつけ、温子は遺産をすべてゆう子に譲ると約束していた。しかし、将太郎の葬儀が終わると「遺言状を預かっている」と言いだしたというのだ・・・。
第9話
蔵前勉は、天野杏から「私は、あなたがいなくても大丈夫ですから」と告げられ「香澄法律事務所」を去ることになる・・・。「香澄法律事務所」では、所長の香澄今日子が山崎慶太と辻井玲子に案件を振り分けていた。今日子は、杏の姉・さくらから、杏には弁護士の資格がない、と教えられたため、杏には仕事を振らないでいた。そんなある日、蔵前の前に、東京地検特捜部の水島和也ら数人が姿を現し、女優・笠原梨乃が所属する「笠原事務所」の脱税の件で過去7年間の経理に関する話を聞きたいと言われ、蔵前はその場で逮捕される。蔵前が逮捕されたことはすぐさま「香澄法律事務所」にも伝わり、弁護を引き受けることにした今日子たちは、一丸となって対策を練ることになるが、杏だけは「もう私のパラリーガルではないので」とそっけない。蔵前の潔白を信じる事務所メンバーたちは、今回の一件は何者かが仕組んだのではないかと推測し、脱税事件の鍵を握る男・田辺良平に接触するが・・・。
第10話
「香澄法律事務所」に、蔵前勉のマネージャー時代の仲間で、元カノでもある安藤カオリがやってくる。噂の元カノに会えた、とテンションが上がってしまう事務所の面々。カオリは、笠原梨乃が復帰した際は彼女のマネージャーを務めることになったため、迷惑をかけた関係各所を謝罪行脚しているのだという。何故か天野杏までカオリが元カノであることを知っていることに動揺する蔵前。するとそこに、杏とは親しい大橋いずみという女性が訪ねてくる。いずみは、青海医大病院で看護師をしていて、同病院の顧問弁護士を務めていた杏の父・昌幸の最期を看取った過去がある。しかしある日突然、退職金1000万円を積まれて退職届を書くよう迫られたのだという。一度は退職手続きを断ったものの、周囲がよそよそしくなったこともあって先月自主退職したという。杏は、彼女の依頼を引き受け、蔵前とともに青海医大病院を訪れるが、有益な情報は得られなかった。すると、同病院の顧問弁護士を務める杏の姉・天野さくらから呼び出され、「杏には弁護士資格がない」と言われる。ショックを受ける2人に追い打ちをかけるように、さくらはある秘密を明かす・・・。
第11話 最終回
杏は、蔵前や今日子たちからの信頼に応えて「香澄法律事務所」に復帰する。だが杏は、蔵前たちが総出で川の中から見つけ出してくれた弁護士バッジを自分に弁護士資格があるかどうか、はっきりしていないと言う理由でつけていなかった。杏は、事務所の仲間たちに頭を下げ、青海医大病院による看護師・大橋いずみの不当解雇の件に力を貸して欲しいと頼んだ。そんな杏の思いに応えて、山崎は丸屋と、辻井は岩渕とともにそれぞれ情報集めを開始するが、病院内には箝口令が敷かれているようで、思うようには進まない。一方、蔵前は杏とは別行動をとり、彼女の恩師・椿原に会いに行き、「天野先生に弁護士資格がないというのは本当なんですか?」と問うと、そこに突然、今日子が現れ・・・。
(フジテレビ「うちの弁護士は手がかかる」より)
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