第1話
浜岡妙子は、印刷会社に勤める夫・陽一、社会人一年目の息子・あきらと暮らす主婦。「ラビットマート」でパートとして働く妙子は、同じくパート仲間の真由美と、夫や息子の愚痴を言い合いながら毎日を過ごしていた。新人パートの育田詩乃に手を焼きながら、妙子と真由美の話題は、夫との離婚について発展して行く。離婚を真剣に考えている真由美は、離婚するためには300万円は必要だと妙子に言う。そんな日々の中で妙子には、ちょっとした不安があり、外出すると必ず見かける男がいたのだ。自分がつけられているのではと陽一に相談するが「更年期ではないか?」といなされてしまう。そんなある日、妙子が1人で家事をしていると、インターフォンが鳴り、モニターに映ったのは、その不審な男だった。仕事の依頼だと言う男に不信感を募らせる妙子だったが、人目のあるところならと話を聞くことにする。男は、妙子に「プロダクション曼珠沙華」西條隼人と書かれた名刺を渡し、頼みたい仕事を話し始める。
第2話
妙子は、女優・若菜絹代に成りすまし、無事に謝罪会見を終えてほっとする。しかし、安原のもとに若菜が倒れて病院に緊急搬送されたと連絡が入り、近々行われる若菜のCM撮影も成りすましを続けてくれないかと頼まれるが、妙子はその依頼を断る。そんな中、「プロダクション曼珠沙華」では、社員の櫻井佳音が過重労働を原因に自殺未遂をし、弁護士の浅野俊徳が労働基準局への申告を検討していると事務所に通告してきた。社長の比嘉莉湖は、本人と話したいと頼むが、浅野は佳音が会社の人間には会わないと取り合わない・・・。一方普通の生活に戻った妙子は、パートの仕事を終えて店を出ると、絹代の夫・水田夏雄が待ちぶせており、喫茶店に誘われる・・・。
第3話
浜岡妙子は、若菜絹代になりすましてCM撮影を終え、芸能界の仕事に楽しみを覚え始める。更に女優気分を味わいたい妙子は、チーフマネージャーの西條隼人の制止を振り切り、若菜メイクのままテレビ局を出ると、人気男性タレントの出待ちをしていたファンに水風船を投げつけられてしまった。大事には至らなかったが、経緯を聞いた付き人の室井セシルから、以前ドラマで共演した男性タレントのファンの逆恨みと聞いて、芸能界の怖さを垣間見る。そんな中、妙子は新聞取材や情報番組のコメンテイターにも出演することになる。セシルたちとなりすましトレーニングをしている妙子のもとに、社長の比嘉莉湖が訪ねてきた。ランチに出かけると、莉湖は娘に預けられた孫の世話に手を焼いていると妙子に打ち明け、お互いの家族の事情を打ち明け合う。そこで莉湖は、若菜の夫・水田夏雄には気をつけた方が良いと妙子に忠告する。
第4話
若菜絹代になりすました浜岡妙子は、アイドルの七瀬ほのかの体調異変に気づき窮地を救うが、その時、大勢の前でかつて介護の仕事をしていたと口走る。しかし、本物の若菜は介護の仕事などしたことがなく、妙子は室井セシルたちに叱られてしまった。後日、七瀬の事務所のスタッフ・中澤が「プロダクション曼珠沙華」に礼を言いに来た。中澤は若菜が七瀬を救ったことをインスタグラムに上げても良いかと社長の比嘉莉湖に尋ねると、なりすましがバレることを危惧して断るが、七瀬を救ったのは若菜だと匂わせた投稿があり、若菜の名前がトレンド入りするほど盛り上がる。一方、莉湖に気をつけろと言われていた水田夏雄が、ある夜、自宅にあった大きなクーラーボックスの中身をヘアメイクの大木戸らんに手伝わせて林の中に捨てていた・・・。
第5話
妙子は莉湖の孫・信男の世話を手伝っていると、仕事を終えた莉湖が帰宅する。妙子は疲れた様子の莉湖に何かあったのか尋ねるが、莉湖は何か隠しているようだ・・・。莉湖は「プロダクション曼珠沙華」を訴える櫻井佳音の事で頭を悩ましていた。妙子も脳梗塞から救ったアイドルの七瀬ほのかから相談があると持ちかけられており、謎の支援者「Mr.Summer Time」に聞くと「自分の思う通りにやるのが一番」だとアドバイスされ、入院中の七瀬を訪ねるのだった。七瀬は芸能界で活動する中で、自分は何がしたいのかわからなくなったと訴え、更に「若菜はどうやって乗り越えてきたのか?」と聞かれるが、妙子はうまく答えることができなかった。莉湖は佳音の問題について社員に個別面談をしながらヒアリングを始めるが、重要な情報は得られない。そして、室井セシルを介して佳音と同期の内藤祥子に話を聞くと、佳音がテレビディレクター・沖野島紀明からのセクハラを受けていたと聞かされる。
第6話
妙子は莉湖から、自身の娘の亜美が孫の信男を自分のもとに置いて行った理由を聞かされる。それは、亜美が離婚した元夫・貴一郎が入院したからで、身寄りがない貴一郎のために亜美は病院に付き添っているとのことだった。妙子は莉湖も病院へ行かなくて良いのかと尋ねるが、莉湖は亜美が嫌がるからと答える・・・。そんな莉湖が抱える問題のもう一つは、櫻井佳音からの訴訟問題。莉湖は佳音からセクハラされている話を聞いたが、当時は問題視しなかったことを妙子に話す。妙子は佳音の話し方で気づかなかったのは仕方ないと慰める。しかし、訴えられたのはセクハラの相手ではなく、なぜ莉湖の事務所だったのか理解できないでいた。
第7話
本物の若菜が夏雄のもとに戻ってきた。自分はやらないと言ったはずの謝罪会見が強行されていたことに不満を持っていて、なりすましている妙子のことを「あの女は誰?」と夏雄を問い詰める。夏雄は「会見は事務所から言われて仕方なく同席した」と弁明。同時に若菜と妙子が出会いでもしたらと心配するも、若菜はすでに國東統次郎と会っていたようで・・・。後日、若菜に扮した妙子と夏雄が事務所に行くと、櫻井佳音の弁護士、浅野とすれ違い挨拶を交わす。その後、莉湖から示談金として2億円を要求されたと聞いた妙子は、テレビ局ディレクター・沖野島のセクハラの証拠を押さえて世の中に訴えるべきだと言う。だがセシルは業界の習慣に馴染まないと猛反対されるが、妙子は育田に沖野島の元へ潜入し、身辺を調べるよう依頼する。無事にテレビ局に潜り込んだ育田だったがセシルに見つかってしまい、セシルから注意された妙子は、調査を中止するつもりだったが、育田は放っておいてはダメだと自らの意思で続行する・・・。
第8話
妙子は陽一と口論になり、家を飛び出してしまう。そして「プロダクション曼珠沙華」に向かうと、莉湖は沖野島の問題に取り組む決意を固め、会社を畳む場合の資金整理の計算をしていた。すると、妙子のスマホに連絡が入り、育田が沖野島の怪しい薬が入ったカバンを盗み、そのカバンを室井セシルに預けたと知らされる。そんな中、副社長の安原が事務所にやって来て、社員やタレントを移籍させる新会社を設立し、海外の投資家たちに説明をして来たと莉湖に告げる。すでに芸能界のドン・國東統次郎の了解も得ており、莉湖の放漫経営を指摘し、更に新会社のメンバーとしてある人物を招き入れる・・・。安原に会社から追い出された莉湖は、妙子に一連のことを謝り、「これで終わりにしよう」と言うのだが、妙子は納得出来ない。翌朝、妙子は夏雄と会い、夏雄から若菜絹代が家に帰っていることを告げられる。
第9話 最終回
妙子、莉湖、夏雄たちは沖野島が起こした犯罪を暴露することを決意し、陽一やあきら、育田、蛍、浅野らの協力も得て一致団結して計画を進めていた。若菜の不倫相手で、妙子に助言を送っていた「Mr.Summer time」こと刃月恭介も背中を押してくれている。更に妙子たちは暴露サイトを運営するグリフに協力をあおぎ、次の日曜の24時から動画生配信を決行することに。しかし、妙子たちの行動はグリフを通じて安原に筒抜けで、沖野島の犯罪を隠蔽した國東に事情を話し、日曜日の夕方に放送されるニュース情報番組のコーナーに若菜絹代本人を出演させ、現在若菜として顔を出している人物が偽物だと告発させ、妙子たちの計画を潰すことを目論んでいた。そして妙子たちと安原たちの思惑がぶつかり合う中、日曜日を迎える・・・。
第10話 特別編
妙子のなりすまし生活は、テレビ局ディレクター・沖野島紀明の過去の犯罪を告発することで終わったと思われた。若菜が戻った「プロダクション曼珠沙華」では、社長の莉湖の下で事務所の建て直しを始め、若菜が海外で出演する大型映画の撮影も始まろうとしていた。しかし、肝心の若菜が空港からの出発直前にまたしても姿を消してしまう。慌てたセシルと西條は、「ラビットマート」で働いていた妙子を拉致し、夏雄の車に押し込み、空港へと急ぐ。その様子を真由美が目撃し、妙子が何かの事件に巻き込まれたのではないかと騒ぎ立てる。真由美は警察に連絡しようとするが思い留まり、浜岡家を訪ねるが、すでに妙子から連絡を受けている陽一たちは落ち着いた様子だった。事情を知らない真由美は陽一たちが妙子に何かをしたのではないかと勘ぐり、育田に浜岡家を探るよう頼む・・・。
(フジテレビ「この素晴らしき世界」より)
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