第1話
2021年5月31日、オードリー・若林正恭(髙橋海人)と南海キャンディーズ・山里亮太(森本慎太郎)のユニット「たりないふたり」が、無観客配信の解散ライブのステージに立とうとしていた。ふたりを引き合わせたプロデューサー・島(薬師丸ひろ子)がそれを見守る。12年前、どちらもコンビとして売れてはいたが、注目されるのは相方で、若林も山里も、いわゆる「じゃない方」。そんな時期に、初対面でいきなり居酒屋にふたりきりにされた若林と山里は、お互いメニューを見つめたまま沈黙・・・。人と関わることが異常なほど苦手なふたりがそもそもなぜお笑い芸人になったのか?全ては、有り余るエネルギーの使い道を知らなかった青春時代の、ほろ苦い事件が始まりだった・・・。
第2話
若林正恭と山里亮太によるユニット「たりないふたり」の解散ライブで2時間ぶっ通しの漫才を披露した後、若林が倒れた。救急車で病院へ運ばれる若林は、うわ言で父の名をつぶやく・・・。時は22年前の1999年。大学の夜学に進学した若林。同級生はおじさんやおばさんばかりで、夜の学食に残っているのはうどんだけ。変化を求めてアフロヘアーにしたが、それが発端で父とのバトルが始まって・・・。一方の山里は、大阪で芸人になるため、関西の大学に進学。寮生活を始め、大学と並行して通うつもりでいた吉本興業の芸人養成所「NSC」の願書は、いまだ出せないままだった。芸人になりたい・・・どうしていいか分からない・・・そんなふたりが激しい憤りをエネルギーに変え、ついに芸人への一歩を踏み出す!!
第3話
若林は、山里とのユニット「たりないふたり」の解散ライブ終了後に倒れ、病院に運ばれた。もうろうとする意識の中で父の名をつぶやくが、病院に駆け付けた家族の中に父の姿はなく・・・。1999年・春。山里は、大学に通いながら大阪の芸人養成所「NSC」に入学し、漫才やコントの台本を書きためながら相方を探していた。ようやく同期の宮崎を口説いて「侍パンチ」を結成するが、授業で自信のネタを披露しても全くウケずに玉砕。焦る山里は相方への厳しい駄目出しを始め・・・。一方の若林は、大学に通いながら春日(戸塚純貴)とコンビ名「ナイスミドル」で活動を始めるが、仕事は、小さなステージで月に2回、無料で漫才を披露することぐらい。しかも客席はいつも同じ女性2人だけで・・・。
第4話
2021年、「たりないふたり」の解散ライブで倒れたオードリー・若林は、病院で意識を取り戻し、検査の結果、過呼吸が原因だった。知らせを受けた南海キャンディーズ・山里はホッとひと安心するが、その後2人は半年間、顔を合わせることはなかった・・・。2000年、大学を卒業した山里は、和男とコンビを組み、「足軽エンペラー」として芸人活動に本腰を入れていた。コンビ仲はイイ感じだが、知名度は皆無で、同期の実力No.1コンビ「ヘッドリミット」との差は開くばかり。一発逆転を狙う山里は、東京の人気番組「漫才道」に挑戦し、いつもの交番前広場でネタ合わせを繰り返しながら勝ち進んでゆく。一方、若林と春日の「ナイスミドル」に、春日のバイト先のショーパブで前説をやらせてもらえることになった。ようやく舞台で仕事ができると若林は喜ぶが、父・徳義は「前説なんて芸人の仕事じゃない」と全否定される。
第5話
2003年、25歳の若林と春日は、人気番組「エンタの神様」のオーディションを受けるが、見事に撃沈。他にもいろんなオーディションを受けたがことごとく落とされ、ライブでも全くウケなかった。頭を抱える若林は、試行錯誤を重ねるが、そのうち自分がどこへ向かっているのか分からなくなり・・・。そんな中、父・徳義がまた仕事を辞め、母・知枝から逃げるように車上生活を始める。一方、山里も、ピン芸人・イタリア人として劇場に立ち続けるものの依然として手応えなし。新たに東京からやって来たマネージャー・高山に変な目で見られ・・・。自信を失いかける山里は、公園で出会った女の子・花鈴から思わぬヒントをもらう。花鈴の何げない言葉にピンときた山里は・・・。
第6話
2003年、山里はしずちゃんと南海キャンディーズを結成し、心機一転、再スタートを切るが、二人ともボケであるため、いきなりネタ作りに詰まる。どうしてもツッコミに回りたくない山里は、2人ともボケるネタを苦労して書き上げ、公園でしずちゃんとネタ合わせを繰り返す。そして早速初舞台を踏むが、結果は惨敗。そんな中、劇場でバトルライブが行われることになった。1回戦の相手は南キャンよりもコンビ歴の浅い無名コンビだが、まさかの1回戦敗退で・・・。その頃、若林と春日のナイスミドルは、テレビのオーディションに落ち続けていたが、とうとう「エンタの神様」から合格の知らせが届く!収録当日、テレビ局にやって来たナイスミドルは、廊下で谷とバッタリ。谷は別の仕事で来ていて、プロデューサー・島との打ち合わせがあるようだ。手応えを持って収録を終え、いよいよ「エンタの神様」の放送日がやって来る。そして、春日と2人でテレビにかじりつくが・・・。
第7話
2004年、大阪の劇場に立ち続ける南海キャンディーズは、先輩からの評判も高く、客席のウケも良いのに、劇場スタッフの不当な評価に苦しめられていた。ある日、スタッフへの不満を口にする2人は、マネージメント部の高山から呼び出される。絶対に怒られるとビクビクするが、高山は怒るどころか2人の漫才をベタ褒めし、「南海キャンディーズのマネージャーになりたい」と熱心に迫って来る。まだ人気のない自分たちがマネージャーを付けるなんて会社が認めるわけがない・・・。戸惑う2人高山は「とりあえずM-1グランプリ決勝に出てください」という。高山の揺るぎない自信に背中を押された2人は、M-1に向けて猛特訓を開始する。その頃、東京の若林は、先輩・谷の生きざまに感化されて自分も頑張んなきゃとM-1優勝を夢見るものの、ネタは浮かばないしスケジュールも相変わらずスッカスカ。そんな中、テレビのインタビューに答える成功者の話を聞き、M-1で優勝するためにやるべきことをスケジュール帳に書き込み、その通りに動き始める。そして、スケジュール帳に「テレビに出る」と書いていた若林は、思いも寄らない形でテレビに出ることになる・・・。
第8話
2004年、南海キャンディーズ・山里は、M-1グランプリで準優勝という結果を残し、人生が一夜にして激変する。無愛想だったスーパーの店員が急にチヤホヤしてくるし、生意気だった劇場スタッフも手のひら返し。仕事は年が明けてもパンパンで、休む暇もないほど大忙し。実家には親戚や知り合いからお祝いの品がひっきりなしに届いて、両親も大喜び。しかし、もてはやされるのは相方のしずちゃんで、頑張っている山里は徐々に疲弊してく・・・。一方、若林と春日のナイスミドルは、社長の提案でコンビ名を「オードリー」に改名。これを機にトーク力も身に付けたいと考える若林は、社長に「トークライブをやらせてほしい」と直談判。しかし、劇場を借りるお金などあるはずもなく、春日の部屋をライブ会場に決め、自分たちのwebサイトで観客を募集し、10人にも満たないお客さんを相手にトークライブを開催する。
第9話
2006年、未だに日の目を見ない若林は、ネタ番組の放送作家から「なんであっちの子がツッコミやってるの?」と指摘を受ける。毎度毎度、的を射ないズレたツッコミを繰り返す相方・春日のことをポンコツ呼ばわりされてしまい、若林は自分たちのトークライブの映像をチェックしてみると、なるほど、指摘された通り春日のツッコミはズレてばかりだ。自分のボケに春日がズレたツッコミをして、更にそこへ自分がツッコむという流れを1本の漫才にすれば・・・「いけるぞ俺ら、売れるぞ!」。一方、大阪で活躍する南海キャンディーズのコンビ仲は最悪の状態。コンビとして劇場やテレビの仕事をこなす傍ら、しずちゃんだけに雑誌やドラマのオファーがくることに不満を募らせる山里。更に、マネージャーの高山から「東京に行けば、もっと全国に2人を売っていける」と活動拠点を東京に移してみないかと打診される。そんな中、しずちゃんが出演する映画「フラガール」が大ヒットし、役者としても注目を浴びていくしずちゃんに対し、山里のねたみはピークに達する・・・。
第10話
2009年、M-1グランプリで準優勝を果たした翌年のオードリーは、すっかり有名人の仲間入り。毎日のようにテレビ局で芸能人に会い、楽屋に行けば弁当が何種類も用意されていて、現場から現場へ大忙しで、移動中にもネタ合わせ。「俺ら漫才師じゃん」と悦に入る若林は、売れたことで家族への後ろめたい気持ちもなくなり、苦手だった父・徳義との会話も楽しめるようになってきた。しかし、だんだんと世間の注目が春日のキャラに集中していき、若林は不安を抱き始める・・・。もどかしい思いを募らせる若林は、顔見知りのプロデューサー・島から居酒屋に呼ばれて・・・。一方山里は、相変わらず広がり続けるしずちゃんとの格差に卑屈になっていた。どうしようもない憤りを抱える山里も、島に呼ばれ・・・。居酒屋で、初めて顔を合わせる若林と山里は、面白くないヤツだと思われたくないと、勝手な被害妄想を膨らませて目を合わせようともしない。才能はあるのに、何かが足りてない2人。そんな若林と山里に島は「やるよ、2人の番組!」と運命の一言を告げる。
第11話
2010年、ユニット「たりないふたり」のライブの後、山里は深夜ラジオのパーソナリティーに抜擢され、2時間の生放送で飛び抜けたトーク力を発揮する。ようやく自分の思いを吐き出せる場所を見つけて、仕事に対しても前向きな気持ちが出てくるが、相方・しずちゃんとのコンビ仲は一向に改善の兆しが見えない。それどころか、しずちゃんがドラマでボクサー役を演じたことをきっかけに本格的にボクシングに打ち込み始めると、山里は「もっとお笑いを頑張ってほしい」とマネージャー・高山に猛抗議する始末。一方、若林は、雑誌でエッセイの連載を始める。テレビに出られるようになって1年、やっと社会人になった気がする今、改めて自分を見つめ直す絶好の機会と捉えて執筆に精を出すが、大好きな祖母・鈴代が亡くなってしまう。そんな中、若林と山里の「たりないふたり」は、ついにテレビに進出し、3か月間の期間限定で2人だけの深夜番組がスタートする。
第12話 最終回
2021年5月、若林と山里のユニット「たりないふたり」は、ついに解散ライブの日を迎える。コロナ禍で、無観客のネット配信にもかかわらず、チケットは54000枚が売れ、プロデューサー・島も「東京ドームで漫才やるようなもんだよ」と感慨ひとしお。若林家では母・知枝と姉・麻衣が食事を我慢してパソコンの前に張り付き、山里家では配信前に食事を済ませようとする父・勤、母・瞳美、兄・周平が慌てて箸を動かす。若林に誘われて芸人になった春日はどこかのカフェで、山里に見いだされてコンビを組んだしずちゃんはテレビ局の楽屋で、二人の解散ライブを見届けようとしていた。若林と山里は、それぞれの控室で出番を待つ間、緊張する山里はウロウロと落ち着きなく歩き回り、若林はその足音が気になって・・・。そしてついに無観客解散ライブがスタートし、もがき続けた二人が互いの底をさらけ出す!そしてライブの後、二人だけに見えた景色とは!?笑いと涙の青春サバイバルストーリー、ここに完結!!
(日本テレビ、日曜ドラマ「だが、情熱はある」より)
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