第1話
東京地方裁判所の裁判官、柊木雫は、1つ1つの案件に時間をかけすぎて、日々の仕事を効率よくこなせないでいた。ある日、柊木はロースクールの派遣教員として、突然辞令を受ける。そして柊木は、青南大学法科大学院、通称:青南ローへと移動する。教務主任の里崎健一郎(小堺一機)に案内され、学生たちに「刑事訴訟法基礎」を担当することになったと紹介された柊木。早速、前期期末の答案を一人一人の名前を呼んで返却するが、学生たちにいきなり不評。正解の答案にも赤字でびっしりとコメントを連ねていた柊木は、学生たちから、司法試験の対策には関係ないと言われてしまう。続いて行った講義でも、効率の悪い実務の話題に終始したため、すっかり学生たちの反感を買ってしまった。
第2話
青南ロースクール卒業後も司法試験合格を目指していた田辺浩が倒れて病院に運ばれた。柊木雫は桐矢純平から、田辺が藍井仁から酷いことを言われていたと聞き、藍井に事情を尋ねる。「受かる見込みのない学生に夢を与えても人生を台無しにするだけ」と藍井から告げられ、柊木は反論するが・・・。そんな中で柊木が行う実務演習の課題は「銭湯」。タトゥーがある男性Xが、銭湯の入店を拒否され、無理矢理入ろうとするXは店主に押され転倒して負傷。Xは店主に治療費と慰謝料合わせて1000万円の請求を求めた。学生たちはXの請求について話し合い、ほとんどの学生が妥当ではないと答えるが・・・。
第3話
柊木雫は、刑事の風見颯に呼びよめられ、自身が担当した事件について、裁判官としての意見を聞かせてほしいと言う。しかし、柊木は実際に裁判を見聞きしていないため軽はずみな見解は出来ないと断る。翌日、実務演習の講義で柊木が、学生たちに課した事案は「黙秘権」。森で男児A君の死体が発見され、A君と男Xが並んで歩く下足痕が残されていた。目撃者もなく犯行を立証するにはXの証言が必要だが、黙秘権を行使されたら無罪となる可能性が高い。柊木は黙秘権について肯定派を真中信太郎、水沢拓磨、天野向日葵、否定派を照井雪乃、桐矢純平に分けてディベートさせる。
第4話
藍井仁のゼミ・通称:藍井塾の選抜テストが、予定よりも前倒しで実施されることになる。学生たちは、柊木雫の講義でも授業そっちのけでテスト対策に夢中になる。柊木は「まったく授業にならない」と藍井に抗議するが、藍井は学院長からも了承を得ていると反論。試験の勉強に集中したい照井雪乃は、実務演習の出席を辞退してしまった。柊木は学生たちの焦りを察しながらも、新たな事案を提出する。今回柊木が学生たちに課すのは、とび職の一人親方Aが元請け業者の工務店B社から発注された仕事で、マンションの2階から転落し、1ヶ月後に硬膜外出血を起こして急死したというもの。Aの妻は転落防止ネットの設置を怠ったB社に損害賠償請求したが拒否された・・・。
第5話
藍井は、教務主任の里崎健一郎にゼミ選抜テストの結果発表を翌週まで延期すると報告し、学生たちは、そのことに疑問を抱いていた。そんな中、柊木は、真中に自宅の門にかかっていたという鳩のレプリカを見せられた。イタズラにしては悪質な出来事を、柊木は「何かの罪に問えるか」と学生たちに問う。些細ではあるものの鳥に関連した嫌がらせに疑問を抱いた柊木は、藍井にも相談するが、誰にでも起こりうることが重なっただけだと取り合ってもらえない・・・。イタズラについて考えながら学内の売店に向かった柊木は、そこで雪乃に出会うが、痴漢被害に遭ったと話す女子学生の声に雪乃は怯えてしゃがみ込む。
第6話
学生の身の回りで相次いで起こる鳥に関するいたずら。SNSには「crow」というアカウント名で柊木と学生たちの写真が投稿され、柊木は警察の風見に相談するが・・・。風見は「crow」=裁判官の法衣から、狙われているのは柊木ではないかと推測。風見から連絡を受けた柊木の持ち物には、カラスの羽根が忍ばされていた・・・。そんな中、藍井ゼミの選考結果が発表され、合格者は5人に絞られたが、実務演習クラスからは雪乃と向日葵が合格。そして「crow」は藍井ゼミの合格者発表の掲示を新たに投稿。更に柊木は「crow」の正体をつかんだと風見から連絡を受け・・・。
第7話
柊木雫や学生たちにイタズラを繰り返していた津山邦彦が自ら命を絶った。柊木と津山が話し合った後、イタズラは無くなっていたのだが・・・。そして、柊木は自らの教育に自信を無くし、藍井仁にしばらく実務演習の課題を考えて欲しいと頼む。守宮清正からも頼まれ、渋々引き受ける藍井・・・。しかし、実務演習の教壇に立った藍井は課題を連ねた問題用紙を配って学生たちに解かせるだけだった。そんな中、桐矢純平は進路について悩んでいて、声をかけた水沢拓磨に、津山の件で将来に不安を感じてしまったと打ち明ける。安藤麻理恵と横溝太一が、青南ローにやって来て、落ち込んでいる柊木を元気付ける。
第8話
司法試験を受けた雪乃の合格発表当日、柊木が青南ローのテミス像に祈る中、仲間たちは我が事のように雪乃のもとへ駆けつける。5人に見守られ、ついに合格者が発表されて・・・。そんな中、柊木は里崎から藍井が、司法試験合格に強みをもつ予備校に引き抜かれようとしているかどうかを探って欲しいと言われる。柊木は、早速藍井に探りを入れるが、青南ローにいるのは報酬のためだとそっけなく言われる。藍井の動向を探っていた柊木は、予備校の引き抜きに関して守宮に相談をすると、藍井と一席設けることを提案し、柊木も同席することになる。しかし、待ち合わせた店に守宮は一行に現れない。仕方なく藍井と話し始める柊木だったが・・・。
第9話
柊木は、刑事の風見が停職処分になったと聞いて電話をかけると、塾講師の松下を見張っていたところ、女子生徒をストーカーしていると勘違いされたという。松下はかつてわいせつ行為で訴えられた事があったが、裁判中に被害者が自殺したことで証拠不十分となり無罪判決に。納得のいかない風見は裁判の正当性を考察して欲しいと、かねてより柊木に頼んでいた。風見が停職処分を受けたことは、学生たちの耳にも入り、柊木は風見がストーカーと誤解されただけだと説明。そこで学生たちは、松下の裁判を検討することに。停職になってまで判決の出た事件を追い続ける風見を心配する柊木は、守宮にも風見がなぜ執着しているのかを相談する。
第10話
柊木は、藍井が刺されたと聞き、搬送先の病院へ向かうと、そこには守宮がいて、藍井は一命を取り留めたが意識が戻らないという。更に、藍井を刺したのは風見だと聞き、衝撃を受ける柊木。柊木は、青南ローに戻り、藍井の研究室であるファイルを見つける。中にはプリントアウトされた学習塾のホームページがあり、講師として紹介されている松下隼人の顔写真にマークがされていた。更に自殺した津山が自分のSNSに最後にアップした病院の写真や、病室番号と風見栞という名前が書かれたメモもあった。風見が襲おうとしたのは松下で、藍井はそれを止めようとして刺されたのではないか・・・。そうなると、津山も自殺ではなかったのではないか・・・?柊木は風見の関与を疑い始める・・・。
第11話 最終回
裁判官の柊木が青南ローに派遣されて初めて教えた学生たちは無事に卒業した。そして柊木が藍井とともに受け持った実務演習を選択した学生たちは、難関の司法試験を突破して法曹界へと歩み出していた。しかし、桐矢だけは、まだ司法試験に挑戦中で、再度受けた司法試験の合格発表が近づく中、青南ローでの仲間たちの職場を訪ねる。弁護士になった水沢と真中、裁判官の雪乃、司法修習の向日葵と会うが、みんなそれぞれの職場で悩みを抱えていて・・・。一方、文科省の官僚と話し合った守宮はロースクールの存在意義を問われ、ロースクールには人材育成の役割があると答えたが、官僚は、その役割と具体的な成果を見せて欲しいと言われる。そこで守宮は、柊木に法科大学院等特別委員会に出席しロースクールの意義を語って欲しいと言うのだ。
(フジテレビ、月9ドラマ「女神(テミス)の教室」より)
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