第1話
名門ヴェルス学園に通う天才数学少年・北田岳は、数学者になるために、数学オリンピック選考会に出場する。しかし、ライバルの圧倒的な実力を目の当たりにし、偉大な数学者になれないことを悟ってしまう。そして学食のバイトで何気なく賄いを作っていた岳に、料理界のカリスマ・朝倉海が声を掛ける。海は、自身が経営する二つ星レストラン「K」でヴェルス学園の理事長・西門景勝(及川光博)がパーティーを開くことになり、その打ち合わせに来ていたのだ。海は、岳が作る計算され尽くした賄いのナポリタンに衝撃を受け、自身もナポリタンを振る舞い、岳もまたその完璧な味に驚愕する。その矢先、岳に同級生の魚見亜由(白石聖)から「退学命令が出ている」と連絡が入る。岳は、ヴェルス学園の特待生で、数学オリンピックを辞退して学園の名を汚したことに理事長が激怒したからだった。しかし、東京大学への進学を期待している父・北田勲(宇梶剛士)のためにも退学になるわけにはいかない。窮地に立たされた岳に対し、「言われたとおりにすれば、お前の状況を変えてやる」と海が驚きの提案を持ちかける・・・。
第2話
上京してきた岳は、海のマンションに居候することになる。レストラン「K」では新人が賄いを作り、スタッフ全員から合格点をもらわなければクビになるというルールがあり、海はその期限を1週間にすると岳に告げる。蘭菜が忠告していたように、岳を待ち受けていたのは想像を絶する戦場のような厨房だった。あまりの回転の速さに賄い作りどころではなく、洗い物さえ追いつかず、孫六の手を借りる始末。そして、疲れ果てて帰宅した岳に、海のマンションの掃除に来ていたレストラン「K」の給仕長・寧々がねぎらいの言葉をかける。その何気ない一言がヒントとなり、次の瞬間、意外な一品を作ることを思いつくが・・・。
第3話
岳は、ようやく超一流レストラン「K」の一員として認められ、他のスタッフたちとともに蘭菜が作った新メニューの候補を賄いとして試食することに。蘭菜は料理界では難しいとされる肉と魚介の組合せを、旨味の相乗効果を用いて見事に調和させてみせた。試食した岳は味を数式に当てはめて逆算し、蘭菜が採用した調理法や食材を見事に言い当てる。そんな岳に海は、大事なお客様をお迎えする日の厨房を任せることに。そして海がサポート役に指名したのは、岳のことをまだ認めていない孫六だった・・・。翌日、岳は蘭菜の相乗効果のアイデアで、大事なお客様への一皿を完成させようとするが、なぜか計算したとおりの味にならない。そこには旨味のトラップが隠されていた・・・。そしてその大事なお客様とは、岳の幼馴染で数学オリンピックのライバルだった・武蔵神楽とその父・魏一だった・・・。
第4話
二つ星レストラン「K」のオーナーカリスマシェフの海は、国内外で強い影響力を持つレストランレビュアー・綿貫哲平の予約が入ったため、コース料理の担当替えを発表する。 綿貫の最高評価を得るため、コースの世界に引き込む瞬発力が必要な前菜を岳、メインの肉料理を蘭菜に任せると言う。綿貫の来店は1週間後。店の命運を賭けた大抜擢だが、何を作ればよいのか迷っている岳に、海は「プロになれ」とだけ告げる。一方、蘭菜はメインの肉料理を着々と理想の味に仕上げていく。岳はそのプロの仕事ぶりに感心するが、実は蘭菜も誰にも言えない苦悩を抱えていたことを知る・・・。そんな蘭菜からプロと素人の料理の違いを問われた岳は・・・。
第5話
3年前、蘭菜の母・桜は、海に店を奪われたことが原因で心と体が壊れてしまった・・・。蘭菜は自分が料理人として海を越えること、それが母の店を返してもらう条件だったと話す。海から厨房の花形である肉料理担当を命じられた蘭菜は「母の店を返して」と海に迫る。しかし海は、蘭菜には「決定的に欠けているものがある」と冷たく言い放ち、蘭菜は店から追い出してしまう。その頃、西門は淡島と渋谷を訪ね、レストラン「K」に関するある提案を持ち掛けていた。更に、一人になった蘭菜に西門が密かに接近する・・・。岳はそんな蘭菜をレストラン「K」に取り戻すべく奔走し、ある解決策の糸口を見つけて・・・。
第6話
岳は店のナンバー2であるスーシェフ・布袋の有能さを魚見に話しながら、自分は布袋を超える料理人にならなければ海と二人で料理の道を極められないのだと気づく。そんなある日、レストラン「K」が超高級ホテルのパーティー料理を監修することになり、海はその代表シェフを自分と布袋を除いたメンバーでのコンペで決めると言う。勝てば名前を売る大きなチャンスだが、競争嫌いな岳は気が重い・・・。岳は尊敬する布袋からの一言をヒントに、驚愕の一品づくりに挑むが・・・。そんな中、家に帰ってこない海をスーパーで見かけた岳は海を尾行し、たどり着いたところには、密会を重ねる渋谷と淡島の姿が・・・。そして迎えたコンペ当日、競争嫌いな岳が作った料理とは・・・?
第7話
岳は、超高級ホテルで行われるパーティーのコース料理のコンペに勝ち、レストラン「K」を代表してフルコースをまとめ上げることになるが、。そのパーティーは数学界で権威ある楠瀬正美賞の受賞パーティーだった。かつて数学オリンピックで圧倒的な才能の差を見せつけられ、トラウマ的存在である広瀬が、この賞の受賞者であることを知り、岳はとてつもないプレッシャーを感じていた。パーティーを1週間後に控えたある日、レストラン「K」の厨房に広瀬が突然押しかけてくる・・・。その日の営業終了後、岳と広瀬の関係や数学者の夢を諦めた理由をみんなに話す。それを機に厨房に一体感が生まれ、海は「みんなを統率して、完璧を超えろ」と岳に指示を出す。一方、渋谷や淡島と密会を重ねていた海は残酷な現実を突きつけられていて・・・。
第8話
海は、パリでの出店準備を理由に、レストラン「K」の料理長をしばらく岳に託し、突然姿を消した。給仕長の寧々もなぜか出勤せず、更に蘭菜もしばらく休みを取りたいと言い出す。残ったスタッフたちは海、蘭菜、寧々の3人が不在の状態で店を回すことになる。海の残した書き置き、そしてレストラン「K」のスタッフの総意で、料理長を岳が務めることになる。海から引き継いだレストラン「K」を守るには様々な困難が待ち受けていて・・・。
第9話
岳が海からレストラン「K」を引き継いで1年が経つ・・・。料理の真理に近づこうとする岳は、一切の妥協を許さないシェフとなり、蘭菜たち仲間は心身ともに疲弊していた。ある日、ナッツアレルギーの客が来店し、急遽メイン料理を変更することになる。しかし、岳はアレルギーの客だけでなく、すべての客のメインを変更すると言い出し、完璧なフルコースにするための前菜やスープ、魚料理までも1から考え直すと言い出して・・・。
第10話 最終回
岳の力を借りて、海は料理の世界に戻ることを決意するが、海の師匠であり神である渋谷はそれを認めようとしない。渋谷は2人の料理を食べに翌日「K」へ行くと言い、それが真理の扉を開くものでなければ、二度と料理はするなと海に約束をさせる。渋谷に挑むための準備を始めようとする岳と海だったが、そこに蘭菜が現れ、「ここで岳に料理はさせない」と言い放つ・・・。更に海の体調に異変が・・・。
(TBSテレビ、金曜ドラマ「フェルマーの料理」より)
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