第1話
2023年12月23日23時30分、横浜・クリングル号記念公園。痛む頭を押えながら勝呂寺誠司が目を覚ますと、目の前には頭部を撃たれて倒れている男と、凶器だと思われる拳銃が転がっていた。そして、誠司のスマートフォンに着信があり、「今すぐその場から離れろ」と指示される。更にその電話の相手は、1時間後にある場所まで来るように告げる・・・。横浜・関内界隈で愛されている、三代続く老舗レストラン「葵亭」のシェフ・立葵時生は、クリスマスディナーの準備に追われていた。すると厨房に見知らぬ男がいて、時生に気付かれ、カウンターを軽々と飛び越えて逃げ出す。時生も後を追ってカウンターを飛び越えようとするが、思い切りつまずき、代々受け継いできた秘伝のデミグラスソースが入った寸胴鍋を倒してしまう。「横浜テレビ」の報道キャスター・倉内桔梗は、銃殺事件の一報を受け現場へ急行する。桔梗は、自らの企画で立ち上げた報道番組「日曜NEWS11」のキャスターを5年間背負ってきて、この事件を番組で扱う事を決めるが、突然番組降板を告げられてしまう・・・。
第2話
記憶を失い、そして殺人の容疑をかけられた勝呂寺誠司は、八幡柚杏から、警視庁組織犯罪対策部の管理官・蜜谷満作なら自分のことを知っていると教えられる。誠司は、自分の無実を証明するため、蜜谷に会いに横浜警察署へやってきた。老舗レストラン「葵亭」のシェフ・立葵時生は、店内に拳銃が落ちていたことを警察に通報したが、犯人からの報復を恐れ、店でひとりきりになることを避けるために一度は中止を決めたクリスマスディナーの営業を行うことにする。「横浜テレビ」の報道キャスター・倉内桔梗は、逃亡中の犯人が学生時代の知り合いであることをつかんだ。そして、上司の指示に逆らい、最後となる自分の番組で事件の特集を組もうと動き出す。一方、横浜警察署を訪れていた桔梗の部下で、時生の娘でもある「横浜テレビ」の新人記者・立葵査子は、「葵亭」で事件に使用されたと思われる拳銃が発見されたという情報を得る。報告を受けた桔梗は、時生にどこの取材も受けないよう連絡してほしいと査子に指示し・・・。
第3話
記憶喪失の男・勝呂寺誠司が事件現場にいるときに「逃げろ!」と電話してきた男が、警視庁組織犯罪対策部の管理官・蜜谷満作であることに気付き、ある場所で蜜谷と会う約束をする。「横浜テレビ」の報道キャスター・倉内桔梗は、殺人事件ではなく、クリスマス特集を放送するよう命じられるが、新人記者・立葵査子と密かに事件の放送準備を進めていた。殺人事件の容疑者が大学時代の知人であることを掴んだ桔梗は、恩師を訪ね、大学を中退したその人物・天樹勇太が住んでいたマンションの住所を知るが・・・。老舗レストラン「葵亭」のシェフ・立葵時生は、店の命ともいえるデミグラスソース無しで、どうやってクリスマスディナーの営業を行うか頭を悩ませていた。アルバイトの細野一は、デミグラスソースを使うメニューを客に頼ませなければいいのではと言い出し、ギャルソンの蛇の目菊蔵ならそれが出来ると言うのだ。誠司は、アネモネの2代目ボス・笛花ミズキとともに診療所を訪れる。医師は、彼の記憶力が健在であることを確認し、記憶を取り戻すには、思い出にできるだけ多く触れることだと助言する。
第4話
勝呂寺誠司が、殺人現場のクリングル号記念公園に戻ると「横浜テレビ」の報道キャスター・倉内桔梗と遭遇する。桔梗は誠司のことを「天樹勇太」と呼び、大学の刑法ゼミで何度かあったことを伝えると、誠司は何も思い出せないと返し、自分のことを勝呂寺誠司と呼ぶ奴らもいると言う。するとそこに、巡回中の警察官がやってきたため、誠司は逃げ出し、桔梗は後を追いかける・・・。一方、冷蔵庫の電源が抜けていて、食材をダメにしてしまった老舗レストラン「葵亭」のシェフ・立葵時生は、ソムリエの竹本梅雨美やギャルソンの蛇の目菊蔵、アルバイトの細野一と手分けして、近所のスーパーから食材を集めようとする。しかし、メインとなるウチワエビはスーパーに売っていないため、近くの老舗レストランに分けてもらわなければならなかった。近くの老舗レストランのシェフとは先代のころに「葵亭」で一緒に修行をしていた仲だったが、ソリが合わなかったため、その役目を頑なに拒否する時生。桔梗は、他のスタッフには内緒で事件に関する放送の準備を進めていた立葵査子に逃亡中の容疑者に会ったことを伝え、過去の事件の中に「スグロジセイジ」という名前がないかどうか調べるよう指示するが・・・。
第5話
逃亡を続けていた記憶喪失の勝呂寺誠司は、警視庁組織犯罪対策部の管理官・蜜谷満作と会う約束をしていたが、蜜谷は誠司の目の前で車にはねられ、救急搬送される。誠司の事件を報じることなく「日曜NEWS11」の最後の放送を終えた「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗は、テレビ局の前で誠司と遭遇する。桔梗は、誠司が関わっている事件を取材していたことを話すと、誠司には天樹勇太というもうひとつの名前があり、警察官だった誠司の父が犯人を射殺してしまったことを苦に自ら命を絶ったことを伝える。そして桔梗は、誠司に独占インタビューを申し込む。「葵亭」では、シェフの立葵時生が、やっとの思いで手に入れたウチワエビを使ってソース作りを始める。そして、そのソースを使ったクリスマスディナーのメインディッシュを決めるため、スタッフたちが賄いがてら試食するが・・・。一方、蜜谷がひき逃げされた事件を追っていた神奈川県警警部補の狩宮カレンは、蜜谷をひいた車が盗難車だったことや、事故現場の模様を撮影していた記者がいたことを掴む。
第6話
勝呂寺誠司は、警視庁組織犯罪対策部の管理官・蜜谷満作を連れてくることを条件に、「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗のインタビューを受けることになっていたが、桔梗に連絡している最中に襲撃を受け、連れ去られてしまう。襲撃したのは、誠司が裏切り者だと考える「アネモネ」の幹部・安斎孝之たちだった。桔梗と立葵査子は、ニュースデスク・黒種草二の協力で蜜谷の連絡先を入手し、誠司が指定したところまで来てもらう約束を取り付ける。一方、八幡柚杏は、蜜谷が病院から逃げ出してひき逃げされた現場に現れたことを誠司に知らせようとするが、電話に出たのは何故か立葵時生だった。そんな中、神奈川県警の警部補・狩宮カレンらは、誠司と蜜谷がある墓地に現れるという匿名情報を得る。「葵亭」では、手伝いに来てくれることになっていたシェフ見習いの武智倫太郎をギャルソンの蛇の目菊蔵が駅まで迎えに行っていた。武智の到着を待つ時生たちだが、扉が開いて入ってきたのは・・・。
第7話
勝呂寺誠司は、「アネモネ」の幹部・安斎たちに監禁されていたが、一瞬の隙をついて逃げ出すことに成功する。「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗は、警視庁組織犯罪対策部管理官・蜜谷満作とともに、丘の上の墓地で誠司が来るのを待っていた。しかし誠司が現れなかったため、桔梗が彼のスマートフォンに連絡を入れると、電話に出たのは「アネモネ」の二代目・笛花ミズキだった。そして今度は、立葵査子から、検問を突破して逃走中のミズキが、「葵亭」から出てくるのを見たという連絡が入り、査子はミズキの後を追いかけ・・・。公衆電話から桔梗に連絡した誠司は、ミズキと査子の件を聞く。誠司は、ミズキと尾行する査子の姿を見つけるが、尾行に気付いていたミズキは、査子の腕を掴んである場所へと向かう。一方、時生たちは、ミズキの件を捜査本部に報告しようとする警察官・山田隆史を止めようとする。また警察が来たら今夜の営業が出来なくなってしまうからだった。するとそこに桔梗が現れて……。
第8話
勝呂寺誠司は、警視庁組織犯罪対策部管理官・蜜谷満作とやっと会う事ができた。そして二人は「アネモネ」や警察の手から逃れるために、路線バスに乗り込む。そこで誠司は、「教えてくれ。勝呂寺誠司と天樹勇太、どっちが本当の俺なんだ?」と蜜谷に問いかける・・・。一方、「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗は、誠司と蜜谷が合流する場所へと急いだが、すでにふたりの姿はなかった。同じ頃、「葵亭」では、シェフ・時生の娘・査子が、以前天樹勇太と交際していた竹本梅雨美の取材準備を進めていた。蜜谷は誠司に、天樹勇太のことを話そうとすると、バス停でバスが停車する。そこに乗り込んで来た「アネモネ」の幹部・神林淳は、誠司と蜜谷が一緒にいるところを写真に収め、他の乗客に気付かれぬようにして誠司に拳銃を突きつけ、バスから降りるよう命じる。次の瞬間、バスが急停車し、その隙をついて拳銃を払う誠司。二人はもみ合いになり、拳銃が妻の墓参りをするために同乗していた立葵時生の足下へ転がった。時生が蹴り返した拳銃を拾った誠司は、笛花ミズキがバイクで追いかけてきていることに気づき、非常ボタンを押してバスを出すよう運転手に指示するが・・・。
第9話
路線バスを乗っ取った勝呂寺誠司は、蜜谷満作から、天樹勇太は警察官であり、「アネモネ」を潰すために蜜谷が勝呂寺誠司として組織に送り込んだと聞かされる。警察に取り囲まれた誠司は、バスの乗客で「葵亭」のシェフ・立葵時生以外の乗客たちを解放する。人質が解放される中、バスの中で蜜谷が誠司を撃った。誠司は、救急車へ運ばれ、狩宮カレンが同乗し、病院に搬送される。バスジャック事件を伝えるニュース映像を見ていたソムリエールの竹本梅雨美は、いてもたってもいられずに店を飛び出し、梅雨美を心配したアルバイトの細野一がを追う。残された蛇の目菊蔵は、警察官の山田隆史に協力を求め、開店準備を進める。蜜谷は、神奈川県警捜査一課長・一ノ瀬猛に、誠司が暴れ出したので仕方なく威嚇射撃をしたと説明し、失態続きの神奈川県警の代わりに俺がやってやったとうそぶく。一方、バスジャックの現場で取材中の「横浜テレビ」キャスター・倉内桔梗は、事情聴取を終えた時生から重大な事実を聞かされ・・・。
第10話
勝呂寺誠司は、病院への搬送途中に逃走し、「アネモネ」の2代目・笛花ミズキに会いに行った。そして誠司は、ミズキに記憶を取り戻したことを話し、「今夜の取引、成功させるぞ」と告げる。同じころ、開店まであと1時間と迫った「葵亭」では、慌ただしくディナーの準備が進められていた。するとそこに、神奈川県警の警部補・狩宮カレンがやってくる。蜜谷満作に裏切られ、捜査から外されたカレンは、時生にバスを降りた後、「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗と何を話していたのか尋ねる。一方「横浜テレビ」では、生放送の大型音楽特番の準備が進められていたが、桔梗たちは、アネモネとメキシコのロス・クエルボによる取引現場を生中継しようと密かに動き出していた。しかし、蜜谷との連絡が取れず、取引場所は不明のままだった・・・。ロス・クエルボ側に取引場所の変更を伝えた誠司は、ミズキとともに現場に向かおうとすると、ミズキは、「もう俺を、裏切りませんよね?」と誠司に問いかけ・・・。
第11話 最終回
「横浜テレビ」のキャスター・倉内桔梗は、アネモネとロス・クエルボの取引現場を生中継しようと密かに動き出していたが、取引現場が変更されたため、行き場を失ってしまう。そのころ「横浜テレビ」では、報道制作局長の折口康司たちが生放送の大型音楽特番を中断し、この日に横浜で起きた事件の報道を始めていた。「葵亭」ではクリスマスディナーが始まり、シェフの立葵時生が用意したメインディッシュは、見たことのない、想像をはるか斜めからいくものだった・・・。一方、取引を終えたアネモネの笛花ミズキは、「あんたはここで終わりだ」と勝呂寺誠司に告げる。するとそこに、ひとりの男が現れ、すぐにこの場所から離れるよう、ミズキに告げる・・・。
(フジテレビ、月9ドラマ「ONE DAY 聖夜のから騒ぎ」より)
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