第1話
2022年・夏。新型コロナが猛威を振るっていたため、夏の花火大会は中止となり、望月航と星太郎の花火師親子は今年も暇になりそうだった。大規模な花火は上げられないものの、個人がオーダーする花火を始めようと、航は星太郎に何度か提案してきたが、星太郎は個人花火となると、料金設定やHPの宣伝など、色々とやらないといけないことがあり、あまり乗り気ではなかった。ある日、星太郎は、朝食の片づけを終えてから作業場に向かうと、航が倒れており「すまん」という言葉とともに、息を引き取った。その年の冬、1人になった星太郎のもとに「あなたのためだけの花火打ち上げます」と書かれた手書きのチラシを手に、水森ひかり(本田翼)が訪ねてくる。
第2話
ある日の朝、星太郎がいつものように朝刊を手に部屋に戻ると、先日、個人オーダーの花火を依頼してきたひかりが立っていた。ひかりは「持ってたもの、全部捨ててきた」と語り、望月煙火店に住み込みで働かせてほしいと頼むのだった。ひかりは、自分が客を集めて、困っていることはなんでもすると、半ば強引に望月煙火店の従業員となり、奇妙な3人暮らしが始まる・・・。ひかりはさっそく、個人オーダーに向けた望月煙火店のホームページを作成し、そこに実際に打ち上げた花火の映像を載せたいと言うが、先日ひかりのために打ち上げた花火の映像は誰も撮影しておらず・・・。しかも、ひかりは「どんな花火だったか、思い出せない」という始末。
第3話
亡き父・航との不可思議な関係性をひかりから指摘された星太郎は、妄想癖があると思われたかも知れないと心配する。航は、一つ屋根の下で一緒に生活しているのだから、偶然ひかりに裸を見られてもいいように、大胸筋を鍛えておくことをアドバイスするのだった。星太郎は、亡くなった航が姿を現すのは、40歳を超えても独身の自分を心配しているのではないかと考えるように・・・。そして、ひかりは花火作りを教えてほしいと星太郎にお願いするが、星太郎は、なにかと理由をつけて、これを拒否するのだった。ある日、星太郎の幼馴染・田中勇人が訪ねてきて、住み込みで働いているというひかりの存在に驚く・・・。
第4話
慣れない個人花火の受注や、ひかりとの同居生活など、なにかとストレスを抱える星太郎。そんな中、個人花火の依頼人である片山貴広がやってくる。1カ月前、パートで会社に来た神谷佐和に、花火の下で告白をしたいという。星太郎とひかりは、顔見知り程度の女性に招待状を送り、来てくれることを前提に花火を依頼した片山の告白が成功するとは思えない。やがて、片山の花火を打ち上げる当日がやってくる。はたして、片山の告白の行方は・・・?
第5話
星太郎は、本格的に花火の作り方をひかりに教える。ひかりは、星と呼ばれる火薬が星太郎の名前の由来だと初めて気づくが・・・。そんな時、幼馴染の田中勇人が、星太郎の好物だという、母親が作ったおでんを持って訪ねてくる。久しぶりにクラス会を催すので星太郎も参加し、花火を打ち上げてほしいと頼むが、彼はどちらも拒否。ひかりは、花火だけを打ち上げて、クラス会には行かない選択肢もあるのでは?と星太郎に提案するが・・・。後日、なぜ断りたいのか本当の理由を聞き出そうとする航とひかりだが、星太郎は珍しく怒りを爆発させ、ここまで頑なに恩師との関わりを断ち、クラス会に出席したがらない真の理由を打ち明ける。
第6話
航の遺品整理をする星太郎。遺品の中には、ガラクタのようなものも混じっており、星太郎は「なんでとってあるかな」と嘆くが、航は、そのうちに捨てようと思っていたら死んでしまい、先送りにしていてはだめだと語る。その後、星太郎は、幼馴染の田中に、花火を打ち上げた後、クラス会に顔を出すと報告する。やがて、ひかりは星太郎に、お母さんの写真が見たいと言い出す。星太郎は、一枚だけ手元にあった母の写真をに見せるが、ひかりはまさかの反応をする。クラス会当日、打ち上げ花火は大成功に終わるも、星太郎はクラス会には顔を出さなかった。後日、田中からなぜ帰ったのかを聞かれると、4年前に別れた恋人・由紀子もクラス会に出席しており、顔を合わせるのが気まずかったようで・・・。しかし田中から、由紀子は結婚し、現在妊娠中だと告げられ、星太郎は動揺するのだった。
第7話
星太郎は、航の日記を見つけ、その内容に激高するが、真実を確かめるにも、肝心の航は最近姿を現わしていない・・・。やがて、突然に航が姿を見せるが、日記の非常識な内容についてはすべて創作で「禁断の妄想を息子に知られて恥ずかしい」と嘆き、それを聞いた星太郎は安堵する。また、以前ひかりが言っていた、花火のチラシを見つけた喫茶店のママが星太郎の母親に似ているという件についても航は否定し、気になるなら自分で確かめてみるよう提案する。しかし、ひかりは航の仏壇に向かい、ある意味深な言葉を投げかけて・・・!?日が変わり、星太郎とひかりが作業場から帰宅しようとすると、時折、星太郎の前に現れては消える少年が佇んでいた。星太郎は、作業場は危ないから立ち入り禁止だと少年を諭すが、ひかりからまさかのひと言が・・・。
第8話
本物の航の幽霊が現れ、これまで星太郎が接してきた航の幽霊は、自身が作り出した幻想であることが発覚する。そのことに衝撃を受ける星太郎だったが、航の別れた妻で星太郎の母である理代子と愛人関係であったことを知り、更に大ショック!そして航は星太郎に、なぜ離婚することになったのかを語り始める・・・。星太郎が小学校に入学した頃、理代子に何か習い事でも始めたらと言い、陶芸を始めた理代子が、どんどん綺麗になっていったこと、それから二年ほどたったある日に、急に別れを切り出されたこと・・・。航からすれば、理代子が離婚を決意した真相は分からず、ただ受け入れるしかなかったと語る。離婚して5年、ひょんなことから、航と理代子は再会する。航は「俺と理代子は出会い直してしまった」と言うが、星太郎は、自身が9歳の頃から抱えていた胸の内を吐露し始める・・・。
第9話
航が、離婚した元妻・理代子と愛人関係であったことにショックを受けた星太郎は、現在の理代子の夫にすべてをぶちまける計画を立て、ひかりに協力を要請する。ひかりは、理代子の営む喫茶店に出向いて、陶芸家の夫の個展が開催されていることを知り、乗り込むタイミングはそこだと言うが、星太郎はなにかと理由をつけて渋り始めて・・・。星太郎は、意を決して個展会場に出向くが、なかなか店内に入ることができずにいると、理代子とばったりと遭遇する。そして、理代子は星太郎を何も言わずに抱きしめると、驚いた星太郎はそのまま走り去ってしまう・・・。望月煙火店に戻ってきた星太郎は、ひかりに「いきなり抱きつくなんてあり得ない」と怒った様子だが、どこか嬉しそうで・・・。その後、星太郎は1人で理代子の喫茶店を訪れ、理代子は、星太郎が来ることを分かっていたかのように迎え入れるが・・・。
第10話 最終回
星太郎が強いわだかまりを持っていた母・理代子と出会い直し、関係性が修復へと向かう。そして、日常生活にも影響を及ぼし、注文が入っていないのに、花火のアイデア作りに勤しんだり、理代子からプレゼントされたマフラーを室内でも巻いたり・・・。その頃には、星太郎のもとで修業を積んだひかりの技術もすっかり板につき、2人での花火作りの作業も息ピッタリ。そんな時、ひかりに入った一件の連絡が原因で、眠れない夜を過ごすことに・・・!?やがて、そのことで星太郎とひかりは、お互いに言いたいことを言い合い、感情を露わにするが、最後には星太郎からなぜか笑顔がこぼれ・・・。理代子と出会い直したことで、日常生活が変化した星太郎は、航のある言葉を聞き、ひとつの決意を実行に移すことに・・・。
(テレビ朝日、土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」より)
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