第1話
「さよなら・・・マルス」と呟いた、桜明学園高校3年の逢沢渾一(板垣李光人)は、車道の中央を目指し歩き始めた。すると、そこにどこからともなく全身白い服を着た謎の青年(道枝駿佑)現れ、渾一のスマホを拾い上げ、勝手に動画を撮り始めた。「これから死ぬんでしょ?」「ラストメッセージをどうぞ」――そう言って撮影を続ける青年に渾一は戸惑い、結局、渾一は死ぬことができなかった。渾一が登校すると、早々いじめを受け、そこに再び先ほどの謎の青年が現れる。青年の名は美島零で、19歳の季節外れの転校生だった。ゼロは渾一にある賭けを持ちかける。「君が抱えている問題を解決できたらオレの言うことを何でも聞く。できなかったら君の言うことを何でも聞こう」。ゼロの言動に圧倒される渾一だったが、心のどこかでこの人なら自分を救ってくれるかもしれないと期待を抱き、その賭けに乗ることに。渾一を「アイコン」と名付けたゼロが、解決することになった渾一の抱えている問題は、「①いじめをなくすこと」「②動画研究会の部員を7人集め、部に昇格させること」「③渾一に送られてきた脅迫メールの差出人を暴くこと」。まずは②を実行するべく、ゼロは名簿から部員候補をピックアップし、勧誘を開始する。そんな2人の様子を心配そうに見ていた貴城香恋(吉川愛)。渾一の幼なじみでもある香恋は、渾一が立ち上げた動画研究会に、ゼロ、渾一とともに名を連ねることに・・・。そして、渾一はいじめの首謀者である澤井玄樹(西垣匠)から呼び出され、金を巻き上げられていた。香恋から助けを求められたゼロは、渾一のもとへと急行し・・・。
第2話
スクールカウンセラーの毛利が校内で違法薬物の原材料となる植物を栽培し、生徒をクスリ漬けにしていたことを世に暴き出す配信で、新生【マルス】として活動を始めたゼロ率いる7人の高校生。動画配信者の【マルス】がゼロだったことを知り、驚きとうれしさの中にいる渾一は、香恋や二瓶らに過去の動画を見せる。そんな中、配信でゼロが発した「これは宣戦布告だ、必ずお前たちの闇を暴いてみせる」という発言の真意を問う呉井。実は1年前、【マルス】が大人の圧力によって活動中止を余儀なくされた過去を明かし、「奴らの闇を暴いて、オレ達が新しい時代を創る」「これは革命だ」と宣言する!革命への第1段階としてゼロが最初に選んだ案件は、日本新記録を打ち立てたトップスプリンター・不破壮志(日向亘)が、殺人未遂騒動を起こして陸上界を追われた件。スポンサー契約を結んでいた会社と金銭問題で揉め、不破が重役の火野武夫(勝村政信)の首を絞める動画が拡散された事件をもう一度検証するため、ゼロ、渾一、そして球児は、同級生である不破の元を訪ねるが、不破は頑なに当時のことを話そうとはせず・・・。やがてゼロたちは、不破の樹立した日本新記録に隠されたある秘密にたどり着き・・・!
第3話
スポーツ界のドンらが仕掛けた闇のプロジェクトを暴き、不破壮志救った【マルス】は、フォロワー数30万を突破した。ある日、香恋に促された杏花は、ゼロたちに1年前に起きた地面師による不動産詐欺事件の新聞記事を見せる。杏花の父・直道はこの地面師事件で詐欺に遭ったプロジェクトの責任者で、事件をきっかけに退職、詐欺集団は未だ捕まっていなかった。数日前、自分宛てに詐欺集団が事件のことを話す動画が送られてきたと話す杏花。その動画を見たゼロは、この詐欺集団を現行犯で私人逮捕しようと動き始める!まずは話を聞くために杏花の自宅を訪れたゼロと香恋は、杏花の家が「売物件」になっていることや、父の直道は昼間から酒を飲んで泥酔状態になっているのを目にする。直道は、渋々事件の経緯と土地所有者を装った詐欺師の立花敦史について話し始めた。その過程で國見亜門率いる「クロッキーコミュニケーションズ」が運営するSNSクロッキーで個人情報の漏洩が行われていた疑惑が浮かび上がる!ゼロは、自身の過去と旧【マルス】に起きた出来事を香恋に明かす。クロッキー社を追い詰める証拠を掴んでいた旧【マルス】だったが、國見によってそれを握りつぶされ、ゼロは信頼する仲間を2人失っていた。
第4話
ゼロと渾一は、クロッキー社が国内最大手の総合流通企業との業務提携を発表する会見場に潜り込む。ゼロは、多数の報道陣が集まる前で國見に「クロッキー社の個人情報流出疑惑」を暴くという賭けに出る!しかし、ゼロが提示した動画を華麗に逆手に取った國見。無謀な行動に出たゼロを、【マルス】のメンバーは非難するが、ゼロから國見との因縁、そしてクロッキー社から流れた情報が恐ろしい犯罪やテロを生む可能性を聞く。香恋が覗き見した賢成のクロッキーのDMでデートの約束をしていたのを知ったメンバーは賢成のデートを見張ることに!翌日、待ち合わせ場所にやってきた妃奈とデートを楽しむ賢成。2人はオンラインゲームで知り合い、この日初めて顔を合わせた様子だった。しかしデート終盤、妃奈は課金が大変なゲームをやめようとしている、と賢成に告白し、「もう会わないほうがいいと思う」と、その場を立ち去ってしまった。その頃、クロッキー社が流した個人情報が、ある闇金サイトに使われているという情報を得たゼロは、その確たる証拠を掴み、クロッキー社の闇を暴こうと・・・。やがて、妃奈には多額の借金があり、金を借りた闇金サイトから身体を売る闇バイトを斡旋されていたことが判る・・・。
第5話
クロッキー社の個人情報流出を告発する動画を公開した動画集団【マルス】だが、國見の策により、フェイク動画を流したとして、クロッキー社から名誉毀損で訴えられることに・・・。大人の闇を次々と暴く活躍で、若者たちから支持を得ていた【マルス】だったが、その信頼は完全に失墜してしまう・・・。【マルス】へのアンチコメントが加速する中、ネット上のデマを暴くことで人気を集める動画配信者「ミスターK」が【マルス】をターゲットにしていることが判る。「ミスターK」は、「マルスを排除せよ!」と視聴者を煽り、信者たちがアンチコメントを量産していたのだ。ゼロは「借りは必ず返す。でもまだその時じゃない」と部室を後にする・・・。他のメンバーもしばらく活動を控えようとする中、久高と球児だけは納得がいかない・・・。そこへ桜明学園3年の真中凛から「推しに殺される、助けて」と依頼が寄せられる。凛は、貢いでいたホストの円城雅が怜王にNo.1の座を奪われそうになったことで売り掛けを連発し、その支払いができなくなったことで、パパ活を強いられ、それを断ったために暴行を受けたというのだ。事情を聞いた久高と球児は、2人で夜の世界の闇を暴こうと、雅のもとへ・・・。その頃、ゼロは渾一に「オレ達の近くにクロッキーのスパイがいる」と告げる。久高と球児の暴走は再び「ミスターK」の標的となり、この出来事もそのスパイが仕組んだことなのではないかと考えるゼロ。やがてスパイの正体が明らかになり・・・。
第6話
球児の死から1カ月。渾一らは学校から無期限の活動休止を言い渡され、ゼロは姿を消していた。香恋、杏花、賢成らメンバーは学校内で会っても、互いに目も合わそうとせず、【マルス】は空中分解したままだった。そんなある日、突然ゼロが姿を現す。渾一は「僕をこの腐った世界から救ってくれるんじゃなかったんですか!僕との約束も、球児くんのことも、マルスのことも全部投げ出して、あんまりだ!」と涙を浮かべながら責め立てると、ゼロは「俺は投げ出しちゃいない」「第二章の始まりだ」と宣言する。その頃、クロッキー社は大手流通産業・エンダーグループとの業務提携をし、ビッグプロジェクトが始動する。SNSのクロッキーの登録者数はみるみるうちに増え、いずれは政府と連携して運転免許証や保険証も紐付けられ、身分証として使えるようになるほど、日本を席巻していた。しかしエンダーグループの西城澪子は、國見と中国企業のよからぬ関係を指摘し、即刻手を切るよう忠告する。【マルス】は、ゼロの帰還によって、香恋を除いたメンバーが再結集。そして【マルス】を陥れ、崩壊へと導いた香恋を呼び出し、ゼロはある事実を告げる。
第7話
不破壮志を新メンバーに迎え、父であるクロッキー社CEOの國見と決別した香恋も復帰する。そんな中、桜明学園一帯の携帯が突如としてフリーズし使えなくなる!ほどなくして元に戻るが、実は國見が仕掛けた巨大プロジェクトの幕開けだった。エンダーグループの会長・西城澪子と業務提携し、SNS「クロッキー」のユーザー数は1億人を突破、公的な身分証をも紐付けることに成功していたクロッキー社。國見は、国民がクロッキー無しでは生活できない状態になったところで、意図的に先のような不具合を発生させ、国家を危機に陥れるテロを起こす可能性を示唆。ゼロが國見に対抗する方法はただ1つ・・・エンダーグループの澪子に会い、クロッキー社と手を切るよう國見の悪事を伝えようと・・・?そんな中、球児の一件以来、学校を休んでいた賢成が「マルスをやめる」と申し出る。自分たちはただの高校生で、対峙する相手が大きすぎるのではないかと苦悩を明かす賢成。するとゼロは、「この先は俺1人でやる。【マルス】は今日で解散する」と言い放ち、部室を出て行ってしまう!ゼロは、澪子に接触し、これまでの國見の悪行を打ち明けるが、どれも確たる証拠がないため、澪子を動かすことはできなかった。テロの証拠となるデータを盗み出す決意をしたゼロは、渾一も切り捨て、単身クロッキー社に乗り込もうとするが・・・。
第8話
國見亜門が仕掛けたウイルスによってSNSクロッキーのアプリを入れた携帯電話が日本中で使えなくなり、そのサイバーテロの首謀者は【マルス】だということにされてしまう!【マルス】のメンバーは無実を証明するため、桜明学園に立てこもることを宣言し、渾一らは、自分たちを犯罪者扱いするニュースを見て愕然。しかしゼロだけは1人平然とクロッキーを入れていない携帯をいじり、次の作戦への準備をしていた。そこへ何者かから「準備OK」とのメールが・・・。校内放送のマイクを使ったゼロは、あらためて「サイバーテロが國見の自作自演であること」、そして「自分たちはそのウイルスの除去方法を極秘で入手した」と発表する!そしてゼロは、「國見社長が桜明学園まで出向けばその方法を伝える」と誘う。ついに桜明学園に警察が出動し、ゼロは、部室にやってきた教頭の小宮山を人質にとって、ナイフを突きつけながらあらためて國見の来校を要求!その頃、クロッキー社にはビジネスパートナーであるエンダーグループの会長・西城澪子が訪れていた。「あなたの本心が知りたい」と言う澪子に、自身が描く未来を語る國見。そんな國見に、澪子は「あなたとマルス、どちらが勝つか楽しみにしてる」と言い残し・・・。
第9話 最終回
志半ばでこの世を去った仲間の想いを成し遂げるため、密かに通じていた大城大木(ウド)から國見がサイバーテロを企てていた証拠のデータを受け取るために待ち合わせ場所に急ぐ。しかし、國見が先回りしていて、ゼロは激しく動揺する。その場から逃げながら、ゼロの自宅に避難していた渾一らにも、すぐにその場を離れるよう指示する。渾一たちは、國見の追っ手から逃れ、再び桜明学園の放送室に身を潜める。そこにゼロが現れ、ウドからデータを受け取る計画は失敗に終わったことを告げる。しかし、ウドが口にした「マルスの魂が眠る場所」という言葉が気にかかるゼロ・・・。実は別の場所にデータが隠されているのではないかと考え・・・?一方、國見に捕らえられたウドは、國見から「初めから正体には気づいていた」と告げられる。わざと泳がせていたのは、この事態のため・・・。【マルス】をサイバーテロの実行犯に仕立て、そのウイルスを除去するアプリを発表することで、國見はこの国の救世主になろうとしていたのだ。しかし起死回生の一手を打っていたのはウドも同じで、ゼロは、ウドが告げた「マルスの魂が眠る場所」に急行し、ついにデータを格納したUSBを手に入れる!しかし、そこに國見が現れ・・・。その頃、放送室に立てこもっていた【マルス】のメンバーは、再び警察や報道陣に包囲されていた。テロの実行犯としてまさに逮捕されようとしている中、渾一は「こんなのはおかしい」と、マイクを通して自分たちの主張を・・・!ゼロと國見の戦いは、ついに決着の時がくる!
(テレビ朝日「マルス ゼロの革命」より)
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