第1話
世界的な指揮者・夏目俊平は音楽の街・ウィーンで指揮台に立ち、聴衆を大いに沸かせていた。5年後の2023年、秋。俊平は指揮者を辞めて、一人きりでウィーンの街にいた。そんな俊平のもとに、彼の元を去った志帆(石田ゆり子)から連絡が入る。画家の志帆にフランスで仕事が入ったため、日本で子どもたちの面倒を見て欲しいと言う。俊平は20年ぶりに帰国するが、娘の響は俊平と目を合わせようともしない。音楽以外の能力がゼロの俊平は、家事は一切できず、そんな状態で、父子3人の気まずい生活が始まる。翌朝、晴見市役所観光課の古谷悟史(玉山鉄二)が夏目家にやって来た。市民オーケストラ・晴見フィルハーモニーの団長でもある古谷は、存続の危機にある楽団の指揮を俊平に頼みに来たのだ。実は、志帆が裏で古谷に指揮をすることを約束していたのだが、俊平はそのお願いを固辞する。一方、晴見市役所に勤めている響は、晴見フィルが使用している晴見あおぞら文化ホール担当になっていた。そんな中、俊平は晴見市長・白石一生(淵上泰史)から、晴見フィルが置かれた厳しい状況を聞かされる。更に、晴見フィルの練習に行った時に、あることを聞かされて・・・。
第2話
仕事でフランスに行ったはずの俊平の妻・志帆が日本にいて、晴見市役所観光課の職員でファゴット奏者の古谷はそのことを知っていた・・・。そんなことを知る由もない俊平は、晴見フィルの指揮者を引き受けることにする。そんな中、白石市長と出くわし、ホールは3カ月後に閉館し、オーケストラは予定通り残り3ヶ月で廃団だと念を押される。更に、白石は晴見フィルが40年以上かけて集めてきた楽譜の撤去を部下に命じる。市長たちの強引なやり方に途方に暮れる古谷と大輝だが、俊平はそんなことを意に介さず、新しい演奏曲を提案し、新メンバーも募集することに・・・。一方、響は上司の滝田から、ある指令を受けていた・・・。
第3話
俊平は、晴見フィルのコンサートを提案するが、市からの圧力もあり、ホールは使えなくなってしまった。演奏する場所をなくして晴見フィルに不穏な空気が流れる中、オケのメンバーでも演奏を巡り、口論が・・・。プロレベルの蓮が、メンバーの演奏ミスなどを激しく責め立て、大輝が途中で練習を抜け出してしまう。オケ団員たちが最悪な雰囲気の中、俊平は奇想天外な場所での演奏を提案する。そんな中、響は上司からの命令で晴見フィルに妨害させられていたことを知った俊平は、響の部屋に向かう。
第4話
響がバイオリンを弾くところを目撃した大輝、天音、蓮は、凌駕した技術に驚く・・・。大輝は響を晴見フィルに誘うが、響は、演奏していたことは内緒にして欲しいとお願いする。そして、その代わりとして響はある条件を提示される。一方、出前コンサートの会場で志帆に会った俊平は、気になってオケの練習に身が入らない。そんな様子に俊平に隠していたある秘密がある古谷はドギマギ。そんな中、俊平と志帆が偶然鉢合わせてしまう。5年ぶりに向き合った二人が話し合うこととは・・・。そして、そんな俊平を捜す謎の男が現れ・・・!
第5話
俊平と瑠李の関係を勘違いした響は、たまたま2人でいるところを目撃し、そのこともきっかけとなり、家出してしまう。予想だにしない出来事に動揺する俊平は、志帆の元を訪ね、2人は響のために協力し合うことに。響が家出した先は意外なところで・・・。そんな中、海にもあるハプニングが起きて、家出する・・・!?夏目家がバラバラになっていく中で、明らかになっていく5年前の真実とは・・・。
第6話
3月末だったあおぞらホールの閉館が2月末に繰り上げになり、市側は今後一切、晴見フィルの新規イベントは受け付けない方針が決まる。晴見フィルは、練習場所も失い、ちゃんとした舞台もないまま、解散することになってしまう。落ち込む団員たちに小村は、恒例行事の梅まつりで、ゲリラ的に、最後のコンサートを開いてはどうかと提案する。団員たちは、古谷を中心に市側にバレないように「さよならコンサート」の準備を進めていく。その中で、俊平は近藤の密かな夢を知り、更に、瑠李の知られざる素顔に気がついて・・・。そんな時、響はホールのオーディオルームによく来ている富子から、題名のわからない曲があると相談される・・・。
第7話
あおぞらホールが閉館となり、晴見フィルは練習場所を失いコンサートの予定もない。晴見フィル解散が残り1カ月に迫るが、やれることがなくなってしまい、団員たちもバラバラになってしまう。小村に相談するが、自身の喜寿を記念した人生初のライブでクラリネットの演奏するため、それどころではない様子。しかし、予期せぬ事態が起きて・・・。一方、天音は響からバイオリンが上達していることを褒められるが、なぜか天音は思い悩んでいる様子。というのも、実はある悩みを抱えていて・・・。そんな中、鏑木が夏目家にやって来て、ドイツの名門交響楽団から俊平に常任指揮者のオファーがあると告げる。それはかつて俊平が夢にまで見た憧れの舞台で、俊平にとって二度とないチャンスだった・・・。
第8話
響は天音を心配し、大輝に付き添ってもらい彼女の家を訪ねるが、玄関先で応対した天音の父・白石は取り付く島もない。そんな中、天音のことが気になっていた海は、ある行動を起こす。一方、俊平は、招待されていた母校の創立記念イベントへの出席を決めた。四国・高松の実家に帰るのは30年前に家出して以来だったが、俊平にはある目的があった。30年ぶりの帰省で明かされる俊平の過去・・・。そして、俊平が父・行彦に勘当された理由が明らかに・・・。
第9話
晴見フィルが仙台オーケストラフェスティバルに参加できることになり、再びみんなで演奏できることに古谷たちは大喜び。晴見フィルにとって、今後の活動を続けるための最後の望みであり、最後の演奏になるかもしれない。しかし、遠征費用も練習場所もなく課題は山積みだったが、瑠李の尽力もあり、熱海にある保養施設で練習できることのなる。響も大輝に誘われて一緒に車で現地へ。そんな中、ドイツのシュナイダー先生から俊平に譜面が届く。その譜面にインスピレーションを受け、俊平は久しぶりに曲作りに没頭し・・・。そして、響は、音楽合宿で俊平の思いを知り・・・。
第10話 最終回
俊平と響は、音楽を通して5年ぶりに心を通わせ、雪解けした2人の様子に、海も大輝もホッとする。一方、晴見フィルは仙台のオケフェスに向けて遠征資金集めに奮闘していた。そんな中、蓮は古谷や大輝と共にあるところに向かっていた。そこで予想外の行動に突き動かされた団員たちは、晴見フィルが存続する方法がないのか模索し始める。 そんな中、俊平は志帆のもとを訪ね、響と和解したことを報告し、そこで正直な気持ちを伝える・・・。そんな矢先、ドイツのシュナイダー先生が倒れたと連絡が入る。音楽家としてシュナイダー先生からもっと学びたいと思っていた俊平は悩むが、晴見フィルにとって命運をかけた最後の公演を控えていて・・・。
(TBSテレビ、日曜劇場「さよならマエストロ」より)
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