「安堂ロイド」
2013年のある日、一人の天才物理学者・沫嶋黎士(木村拓哉)が殺された。
冴えない風貌ながらその世界では名の知られている大学教授で、ワームホール理論の最先端の研究者だった黎士。
ワームホールとは、時空構造の位相幾何学として考えうる構造の一つで、時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道の事である。
その研究が原因で殺されたのかは謎だが、彼には最愛の婚約者・安堂麻陽(柴咲コウ)がいた。
大手IT会社に勤める優秀なビジネスウーマンだった麻陽は、美人で頭も切れ、会社でも周囲から仕事の出来るやり手と認められていたが、変わり者で天才の黎士と運命的な出会いをして恋に落ち、愛する人との生活に満ち足りた日々を送っていた。
だが、そんな彼女に“最愛の人の死”という不幸が突如襲い掛かり、さらには彼女自身も理由の判らぬまま正体不明の相手から命を狙われる身となる。
最愛の人を失った喪失感で茫然となり、最初は自分の命の危機に無防備な麻陽。
だが、そんな彼女の前に、死んだ黎士とそっくりの容姿をした謎の男・ロイド(木村拓哉・2役)が、机の引き出しの中から現れる──!
黎士が麻陽に残した誓いの言葉に導かれているかのように・・・
ロイドの唯一の使命は、麻陽をあらゆる危険から命をかけて守ることだった。
ロイドは麻陽の平穏を守るため、麻陽に気づかれないまま戦いに出て、そして傷ついて帰ってくる。
「力のない正義は無意味」が彼の哲学。
だから自分の身は自分で守るべきだし、自分の大切な人を守るためなら実力行使も当然。
一方で「愛」という言葉を知らず、人間の怒りや悲しみも理解できない。
最初はロイドに嫌悪感を示す麻陽だったが、彼自体の悲しい存在に気づきはじめ、徐々に心を寄せていく…。
そしてロイドも麻陽をガードしながら生活するうちに、彼の中に感情が芽生えていく…。
|